牧野忠周

牧野忠周：越後長岡藩主、その生涯と人物像

牧野忠周（まきの ただちか）は、享保6年（1721年）に越後長岡藩の第4代藩主・牧野忠寿の次男として生まれました。彼は長岡藩系牧野家の宗家6代目にあたります。

生涯

忠周は幼少の頃、兄の早世や父の正室に男子が生まれなかったことから、牧野家の嫡子として迎えられました。享保18年（1733年）には老之助と改名し、従五位下、民部少輔に叙任。徳島藩主・蜂須賀宗員の妹との婚約も交わしましたが、後に破談となっています。その後、日向延岡藩主・牧野貞通の嗣子である忠敬を養嗣子としました。

寛保2年（1742年）には幕府から借用。延享3年（1746年）に病気を理由に忠敬へ家督を譲り隠居。土佐守に転任し、宝暦12年（1762年）に忠軌と改名しました。明和9年（1772年）に52歳で死去し、墓所は東京都港区の済海寺、後に新潟県長岡市の悠久山に移されました。

人物

忠周は生来病弱であり、藩政は家臣に任せることが多かったとされています。蜂須賀家との婚約破棄も病気が理由でした。牧野家の史料「御附録」にも、病気による登城の欠席が頻繁に記録されています。

養嗣子を迎えた後も嗣子がない状況が続き、病気を理由に隠居しましたが、皮肉にも後を継いだ忠敬、忠利、忠寛よりも長生きしました。1982年の牧野家墓所改葬に伴う遺骨調査では、推定身長が156.1cmまたは153.2cmと小柄であり、歴代藩主の中でも小柄な部類に属することが判明しています。

系譜

父：牧野忠寿
母：フヂ、智峰院 - 丸山伝兵衛の娘、側室
婚約者：蜂須賀宗員の妹
側室：もせ - 大原仙蔵の娘
子女：
牧野忠寛（長男） - 生母はもせ、公式上の実父は牧野貞通
牧野慶三郎
幸君
養子女：
牧野忠敬 - 牧野貞通の長男
直君、明仙院 - 牧野忠敬正室、実妹
長君

子女についての異説

公式には隠居後に子女を儲けたとされていますが、「御附録」によると、忠敬を嗣子とした後に子供が生まれていたとされています。『寛政重修諸家譜』では、本多康桓の娘で後に牧野忠利に嫁いだ逸姫が寛保元年（1741年）に、同じく『寛政重修諸家譜』などで牧野貞通の子とされる牧野忠寛が忠周の実子として誕生したとされています。遺骨調査の際、忠寛の出自についても調査が行われ、人類学・骨学的には「御附録」の方が正しいという結果が出ています。逸姫と忠寛の出生年から、大原氏の他にも側室がいた可能性が高いとされています。

牧野忠周は、病弱ながらも長命を保ち、様々な逸話に彩られた生涯を送った藩主でした。

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