特許 (行政法)

行政法上の特許についての詳説

行政法における特許とは、国家が個人に対して特別な能力や権利を授与する行政行為を指します。この行為は、個々の自由を侵害するものではなく、むしろ公益のために設定されるものとされています。特許は、形成的行為の一種であり、他の形成的行為には認可や代理が含まれます。行政法では、各個人が本来有している自由の範囲内にあるため、行政裁量が広く認められるのが特徴です。

用語の多様性と特許の位置付け

行政法の文言において「特許」と明記されているケースは比較的少なく、しばしば「許可」「免許」「認可」といった異なる用語が使用されます。このため、特許が何を意味するのか、明確な理解を持つことが難しい面もあります。特に注意が必要なのは、特許法における特許権の付与行為は、行政法学上では確認に分類され、通常の意味での特許とは異なることです。

公益事業と特許

行政法における特許は主に公益事業に関連しており、特に道路運送や地方鉄道事業などの「免許」、電気事業の「許可」、さらには河川や公有水面に関する「許可」などが具体的な例として挙げられます。これらの特許は、企業が特定の事業を営むための条件を設定し、特定の権利を与えることにより、特許企業として経営する基盤を築く役割を果たします。特許企業に与えられた権限は、国家から与えられた特権という側面があり、公益の観点から管理されています。

特許の変化と規制緩和

近年では、特定の事業（電気事業、ガス事業、鉄道事業など）が特許なしにも行えるようになりつつあります。この動きは規制緩和の流れを反映しており、新規参入が認められる傾向にあります。そのため、国家が独占的に与える特権としての特許の重要性は減少しており、許可と特許の相対的な関係が見られるようになってきています。

行政法上の特許の具体例

• - 軌道運輸事業の特許（軌道法第3条）

軌道に関わる運輸業を営むために必要な特許です。

• - 鉱業権の設定許可（鉱業法第21条）

鉱業を行うための権利設定を目的とする許可。

• - 漁業権の設定免許（漁業法第10条）

漁業を営むために必要な権利を得る免許です。

• - 電気事業の許可（電気事業法第3条）

電気を供給するための許可が必要です。

• - 道路占用許可（道路法第32条）

道路の占用に関する許可を指します。

• - 河川占用の許可（河川法第23条、24条）

河川を占用する場合に必要な許可。

• - 公有水面埋立の免許（公有水面埋立法第2条）

公有水面を埋め立てる際の免許です。

• - 帰化の許可（国籍法第4条）

他国の国籍を取得するための許可です。

• - 公務員の任命

公務員を任命することも特許の一例とされます。

結論

行政法上の特許は、その運用や対象が変わりつつある現代においても、依然として公益のために重要な役割を果たしています。特許の理解とその変化を認識することは、行政法の研究や実務において不可欠な要素となるでしょう。

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