牽弘

牽 弘（けん こう）：三国時代から西晋にかけての武将

牽弘は、三国時代から西晋時代にかけて活躍した著名な軍人であり、主に魏と西晋の二つの政権に仕官しました。彼の出身地は冀州安平郡観津県であり、戦国の時代に数多くの歴史的事件を経験し、重要な役割を果たしました。彼の家族には、父の牽招、兄の牽嘉、そして甥の牽秀がいます。

生涯の業績

牽弘は、父親の牽招が魏に仕官していた影響を受け、同じく優れた軍人としての道を歩み始めました。父は異民族との戦闘や辺境の治安維持で成功を収めており、その影響を直接的に受けた牽弘もまた、勇猛な性格を持ち合わせていました。彼の軍事的才能が発揮されるのは、特に景元4年（263年）の蜀漢討伐の際です。この時、彼は隴西太守として鄧艾のもとで蜀漢に攻撃を仕掛け、見事な戦果をあげました。

蜀漢が滅亡した後、牽弘はその影響で蜀中の各郡の太守を兼任し、戦後の復興と治安維持に尽力しました。また、彼は咸熙年間には振威護軍の地位に就いており、さまざまな任務を遂行していました。

戦闘と転任

魏の政権が西晋に移行する過程において、牽弘は泰始6年（270年）1月に揚州刺史に任命され、特に呉の軍勢による江夏郡への侵攻に際しては、自ら出撃して敵を迎撃し、撃退に成功しました。この戦闘は彼の軍事的能力を証明する重要な出来事となりました。

しかし、その後の泰始7年（271年）4月には、涼州刺史の地位で鮮卑族の侵攻に対処することになりました。この戦闘では、牽弘は敵の包囲戦術にかかり、最終的には敗北し、命を落としてしまいます。この結果、司馬駿という当時の指揮官が職を解かれる事態を招いたため、その影響も大きかったと言われています。

牽弘と陳騫の関係

彼が揚州刺史に就任していた頃、上司にあたる都督の陳騫との関係は必ずしも良好とは言えませんでした。陳騫は後に大司馬として中央に戻る際、牽弘を評して「彼らは勇敢であるが判断力に欠けている」と不安を抱き、その結果牽弘を涼州刺史へ転任させる判断を下しました。このことは、後に陳騫が陥った不利な状況を考えると、非常に興味深いエピソードと言えるでしょう。

最終的に、彼の行動によって陳騫の信頼を失うことになり、彼の言葉を軽視していたことが後の後悔に繋がったことが示されています。このように、牽弘の人生は数々の戦闘と、彼自身の個性や人間関係によって構成されたものであり、歴史における優れた軍人の一人として記憶されています。

出典

陳寿『三国志』巻26 魏書 牽招伝

もう一度検索