狄道の戦い

狄道の戦い

狄道の戦い（てきどうのたたかい）は、中国の三国時代における蜀と魏の間での軍事衝突であり、254年と255年の2回にわたって行われました。この戦いは現在の甘粛省定西市臨洮県周辺で繰り広げられました。以下では、この戦いの背景や経過、およびその後の影響について詳述します。

前史

戦いの前触れは253年2月にさかのぼります。時の蜀の大将軍で、北伐に慎重であった費禕が、魏の降将郭循に刺殺される事件が発生しました。これにより、北伐推進派であった衛将軍姜維が蜀軍の指揮を執ることが可能となりました。同年、呉の諸葛恪が合肥新城を攻撃し、姜維に出撃を促しましたが、姜維は撤退を余儀なくされました。

254年には、魏の狄道県の李簡がこっそり蜀に降伏を望んでいました。蜀の軍は疑念を持ちましたが、張嶷がその真意を見抜き、姜維がこれに同意すると、彼は再び北へ進撃しました。

戦いの経過

姜維は狄道県に到達すると、李簡は城を開放し、彼を受け入れました。この際に提供された軍資を利用し、姜維は進軍を続けました。魏では、司馬昭が姜維を迎撃するための兵を送り、徐質が張嶷を討取るなどの激しい戦闘が続きました。徐質は張嶷に敗北し、その後の姜維の包囲も続きました。

姜維は勝利を重ね、またもや狄道への攻撃を宣伝しましたが、蜀の別の指導者陳泰は姜維の出撃を控えるよう進言しました。結局、253年の冬、姜維は河関、狄道、臨洮の3県の住民を蜀に連行し、勝利を収めることとなったのです。

第二次狄道の戦い

255年夏、姜維は再び北伐を行い、車騎将軍の夏侯覇、鎮南大将軍の張翼を率いながら進軍しました。この時、陳泰は蜀の弱体化や民の苦しみを理由に進撃に反対しましたが、姜維はその意見を無視してさらに進軍しました。魏側も郭淮の逝去を受け、陳泰が征西将軍に昇進し防衛を固めます。

洮西の戦いでは、蜀軍が三方向に進軍しようとしたところで魏が迎撃し、王経が姜維と出会い敗北を喫しました。この大敗により、多くの魏軍が流浪し、結果的に魏の軍の士気に大きな影響を与えました。

包囲戦とその後

姜維は狄道城の包囲を開始しましたが、陳泰の援軍が急速に到着し、蜀軍の士気を削ぎました。陳泰は姜維に対抗すべく、夜を使って進軍し、楚軍には伏兵が待ち受けていると考えられていました。姜維は陳泰の進軍を予期して伏兵を配置していましたが、結果的に攻撃には失敗し退却を余儀なくされました。

この退却は姜維にとって損失を意味し、その後も戦いは蜀にとって厳しいものでした。陳泰は王経との情報交換を通じて、姜維の進路を遮断し、城の攻略を諦めさせることに成功します。

後史

この戦いの結果、蜀の姜維は大将軍に昇進し、多くの血戦の中で戦術を磨きました。しかし、同時に魏側には大きなダメージが残り、曹髦も自身の不徳を詫びる場面が見受けられました。最終的に、陳泰の迅速な行動は高く評価され、魏軍の防衛体制も見直される結果となりました。

狄道の戦いは、蜀と魏の戦争における重要な戦闘の一つであり、以後の戦略や戦術に多大な影響を与えることとなります。

もう一度検索