夏侯覇

夏侯覇（かこう は）：三国時代の実力者

夏侯覇は、中国の三国時代、魏・蜀漢において重要な役割を果たした武将です。彼の字は仲権で、豫州沛国の譙県に生まれました。出身は名門の夏侯家で、父は著名な武将夏侯淵、兄弟には夏侯衡、夏侯称、夏侯威、夏侯栄、夏侯恵、夏侯和がいます。また、彼の娘は晋の将軍羊祜の妻でした。

幼少期と若年期

幼い頃の夏侯覇については詳細は伝わっていませんが、彼は家族と共に優れた馬術と弓術の才を発揮し、他の兄弟たちと共にその才能を称賛されました。特に建安24年（219年）の定軍山の戦いでは、彼の父と弟が劉備軍の黄忠に討たれ、この事件が彼の心に復讐の念を抱かせるきっかけとなりました。

軍事キャリアの始まり

黄初年間、夏侯覇は偏将軍に任命され、関内侯としての地位を得ます。太和4年（230年）には、曹真の蜀征伐時に先鋒を務め、蜀軍の包囲に遭遇しますが、幸運にも援軍が到着し、窮地を脱しました。その後、彼は右将軍に昇進し、征蜀護軍に転任しました。

羌族の反乱と姜維との対峙

正始8年（247年）、羌族による反乱が勃発し、夏侯覇は軍を率いて反乱軍を鎮圧する任務にあたります。一方で、蜀漢の姜維もこの動乱に呼応して攻撃を試みますが、郭淮の援軍により姜維は撤退を余儀なくされました。夏侯覇は反乱を相手に戦果を上げましたが、その後、姜維との戦闘で敗れています。

蜀漢への亡命

嘉平元年（249年）、司馬懿による政変が発生し、夏侯玄が危険にさらされる中で、夏侯覇は自らの身を守るため蜀漢へ亡命を決意しました。彼は蜀漢で厚遇され、車騎将軍に任じられます。その後、名将張嶷との友好関係を築こうと試みますが、性急さから疎まれたこともありました。

蜀での活動と最期

延熙18年（255年）、彼は姜維と共に狄道で魏の王経を撃破する戦果を上げます。やがて発生する政局の変化により、夏侯覇は戦闘に参加するも、最終的に戦死します。その死は蜀の戦況における重要な転機を意味していました。さらに、のちに彼の子供たちは彼の名声を受け継ぎ、元勲夏侯淵の子孫として名を残しました。

小説『三国志演義』における描写

小説『三国志演義』では夏侯覇は夏侯淵の長子として描かれますが、字の「仲権」が次男とされるため、物語の中で矛盾があります。彼の登場は長坂の戦いで、張飛に投げ捨てられるシーンが有名です。しかし、同姓同名の人物として描かれることもあるため、読者の間では様々な解釈が生まれています。

夏侯覇の生涯は、家族、忠誠心、戦争の激動に彩られたものであり、彼の足跡は三国時代の中でも特筆すべきものと言えるでしょう。

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