独眼竜政宗 (NHK大河ドラマ)

独眼竜政宗

『独眼竜政宗』は、1987年1月4日から12月13日まで放送されたNHK大河ドラマ第25作です。主演は渡辺謙が務めました。原作は山岡荘八の小説『伊達政宗』で、仙台藩62万石の礎を一代で築いた奥州の戦国武将・伊達政宗の生涯を描いています。

制作の背景

大河ドラマは、『山河燃ゆ』、『春の波涛』、『いのち』と3年間連続で近代を舞台にした作品が続いていました。しかし、時代劇を求める声も強く、NHKは水曜夜に「NHK新大型時代劇」枠を設けました。また、視聴率の面では『いのち』が好調でしたが、「大河ドラマではなく連続テレビ小説のようだ」という意見もあり、時代劇への回帰が求められました。そこで、4年ぶりに時代劇として制作されたのが本作です。

企画と脚本

プロデューサーの中村克史は、以前から地方の武将を主人公にしたドラマを構想していました。その中で、東北地方を舞台にした大河ドラマが少ないことに着目し、伊達政宗を題材に選びました。脚本は、連続テレビ小説『澪つくし』で組んだジェームス三木に依頼しました。原作の小説は政宗の青年時代が中心だったため、『成実記』や『伊達治家記録』も参照し、政宗の生涯を網羅的に描きました。

オープニング

オープニング前には、史実解説を入れる構成が本作から定着しました。これは、前作『いのち』で獲得した女性視聴者層を時代劇にも引きつけようとした試みです。オープニング映像では、レーザー光線を背景に、甲冑を着用した渡辺謙扮する政宗が登場し、新しい大河ドラマのイメージを打ち出しました。

キャスティング

キャスティングは、映画『ゴッドファーザー』を参考に行われました。当初、主演には西城秀樹を起用する予定でしたが、実現せず、最終的に渡辺謙が抜擢されました。渡辺は当時、まだ知名度が低かったものの、その演技力と存在感が評価されました。片倉小十郎に西郷輝彦、伊達成実に三浦友和を配するなど、意外性のあるキャスティングも話題となりました。特に、豊臣秀吉役には勝新太郎が起用され、その演技は大きな反響を呼びました。

勝新太郎の起用は、過去のトラブルから懸念もされましたが、「渡辺謙に立ちはだかる存在」として他に考えられないと中村は語っています。勝は、撮影前に渡辺と会わず、小田原参陣のシーンで初めて対面するという演出も行われました。これにより、ドラマ上での緊張感を高めることに成功しました。

反響とレガシー

本作は、平均視聴率39.7％、最高視聴率47.8％を記録する大ヒットとなりました。特に、政宗の幼名である梵天丸が、養育係の喜多に語った「梵天丸もかくありたい」という台詞は流行語になりました。2016年のラジオ番組の企画では、過去の大河ドラマを対象にした人気投票で第2位にランクインしました。また、『週刊ポスト』の企画では、好きな大河ドラマ主演俳優で渡辺謙が1位に選ばれました。

スタッフ

脚本：ジェームス三木
原作：山岡荘八『伊達政宗』
音楽：池辺晋一郎
演奏：東京コンサーツ
テーマ音楽演奏：NHK交響楽団
テーマ音楽指揮：岩城宏之
監修：伊達泰宗
時代考証：鈴木敬三
風俗考証：磯目篤郎
衣装考証：小泉清子
殺陣：林邦史朗
語り：葛西聖司
制作：中村克史
演出：樋口昌弘 / 吉村芳之 / 西村与志木 / 木田幸紀 / 諏訪部章夫

放送

総合テレビ、BS1、衛星第2テレビで毎週日曜20時00分から放送されました。全50回。第14回放送時には、東京都杉並区で電波ジャックが発生する事件も起きました。

メディア

VHS、DVDで発売されています。また、30分のハイライト集も発売されました。

関連作品

同じ原作小説を基にしたテレビ朝日制作のドラマ『独眼竜の野望 伊達政宗』があります。

『独眼竜政宗』は、その斬新な演出と魅力的なキャストで、大河ドラマ史に残る傑作として、今もなお多くの人々に愛されています。

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