狭心症治療薬

狭心症治療薬について

狭心症治療薬は、虚血性心疾患である狭心症の薬物治療を目的とした医薬品です。この病状は心筋が酸素不足となり、胸部に絞扼感や圧迫感を伴う痛みを引き起こします。この胸痛は数分間続き、痛み止めなどで軽減されることはありません。また、発作の特徴は患者によって異なります。

狭心症は発症の原因に応じて、労作型狭心症と安静時狭心症に分類されます。労作型は運動中に心筋の酸素需要が増し、冠状動脈の狭窄によって供給が不足し、発作が起こるものです。一方、安静時狭心症は夜間などの安静時にも発生し、冠状動脈の攣縮が関与します。

狭心症の治療には、血流を改善し酸素供給量を増やすことが求められます。これに加え、酸素需要を減少させる薬物を用いることで、心筋への酸素供給と需要のバランスを調整します。狭心症の治療には、発作そのものを抑えると同時に、心筋梗塞の進展を防ぐことも目的としています。

薬物治療の基本方針

狭心症に対する薬物治療の基本は、冠状動脈の血流改善です。これには、血管拡張や攣縮の緩和を促す薬剤が使用されます。具体的には、硝酸薬やカルシウム拮抗薬が主な選択肢です。硝酸薬は、心筋の酸素消費を減少させることから、発作緩和に効果的です。これらの薬剤は、呼吸や心拍数にも影響を与え、心臓の負担を軽減します。

硝酸薬

硝酸薬は狭心症の発作治療において第一選択の薬です。体内で一酸化窒素に変換され、血管を拡張させることで、心臓への血流を増加させ、胸の痛みを迅速に和らげる効果があります。舌下投与やスプレー形式で用いられることが一般的です。ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどが代表的な硝酸薬で、特に経皮剤は持続的な効果を提供します。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、心筋の収縮を引き起こすカルシウムの細胞内流入を防ぐ薬です。これにより血管の拡張が促され、酸素供給が改善されます。特に安静時狭心症に対して有効です。しかし、成分によってはグレープフルーツジュースの摂取に注意が必要で、相互作用があるため摂取を避けることが推奨されます。

β受容体遮断薬

交感神経の働きを抑制するβ受容体遮断薬も、狭心症の治療に用いられます。これは心拍数や心筋収縮力を減らし、酸素消費量を抑えることから、特に労作型狭心症に有効です。ただし、突然の投与中止には注意が必要です。必要に応じて徐々に減量することが求められます。

その他の薬剤

さらに、狭心症にはジピリダモールやトラピジルなど、血管拡張作用を持つ薬物もあります。これらの薬剤は、血流改善に寄与しつつ、心筋保護の効果も期待できます。

狭心症は生活習慣病による冠状血管の狭窄が原因となることが多く、治療には食事や運動、禁煙などの生活習慣の改善も不可欠です。薬物治療と合わせて、これらのアプローチを行うことで、狭心症の進行を予防し、心筋梗塞のリスクを軽減することが重要です。

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