猪子一時

猪子一時

猪子一時（いのこ/ゐのこ かずとき）は、戦国時代から江戸時代前期にかけての武将であり、江戸幕府の旗本でもあります。

生涯

猪子氏は、源頼政の嫡男である仲綱を祖とし、摂津国生田に住んで生田氏を名乗った後、猪子に改めたとされています。出自は源氏ですが、藤原氏とする説もあり、詳細は不明です。

猪子久左衛門の子として生まれ、弟に兵助（一俊または高就）がいます。初めは父と同様に、尾張国の犬山城主・織田信清に仕え、永禄元年（1558年）の浮野合戦で岩倉織田氏と交戦した様子が『甫庵信長記』に記されています。

その後、織田信長に仕え、永禄3年（1560年）には18歳で赤母衣衆に選ばれます。天正6年（1578年）の有岡城攻めにも参加し、後に高槻城の番衆の一人となりました。

天正10年（1582年）の本能寺の変で信長が死去した際には、近習であった弟の兵助も二条御新造で織田信忠らと共に討ち死にしました。

信長没後は豊臣秀吉に仕え、天正13年（1585年）に摂津太田郡で1,000石を知行。後に近江国愛智郡、河内国河内郡、伊勢国河曲郡で加増され、合わせて2,730余石となり、黄母衣衆に列したとされています。秀吉の御咄衆となり、文禄の役では名護屋城に駐屯しました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは東軍に属して参戦。田中吉政、金森素玄・可重らと功を競い、敵陣に斬り込んで首級を挙げ、その功績により茶入「常陸帯肩衝」を褒美として与えられました。慶長19年および20年の大坂両陣にも従軍。元和3年（1617年）には、徳川秀忠の御伽衆の一人となりました。寛永3年（1626年）に武蔵国で死去。享年85歳。

人物

茶の湯を千利休、古田織部に学んだ茶人としても知られています。

参考文献

谷口克広; 高木昭作（監修）『織田信長家臣人名辞典』吉川弘文館、1995年、65-66頁。ISBN 4642027432。
堀田正敦「国立国会図書館デジタルコレクション 猪子氏」『寛政重脩諸家譜. 第5輯』國民圖書、1923年、911-912頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1082718/464 国立国会図書館デジタルコレクション。

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