獺祭 (企業)

株式会社獺祭

株式会社獺祭（だっさい）は、山口県岩国市に本社を構える著名な酒造メーカーです。この会社は、特に純米大吟醸酒の製造に特化しており、その品質の高さで国内外において高い評価を得ています。2025年までは旭酒造株式会社という名称を使用していましたが、他の同名の酒造とは関係がありません。

概要

獺祭の製造は、酒米の王様とも呼ばれる「山田錦」を使用し、醸造アルコールなどを使用しない形で行われています。精米歩合も50%以下に抑えられており、これは純米大吟醸酒とされるものです。「獺祭」という名前は、正岡子規の俳号に由来し、同時に元の酒蔵の所在でもある玖珂郡周東町獺越にちなんでいます。

この酒造は、1984年に三代目の桜井博志が家業を継いだ際、当時業績が低迷していた会社を再生させるために「味わうための酒」という理念を掲げました。当時、普通酒しか製造していなかった酒蔵は、桜井の指導のもとで純米大吟醸酒のみに特化する方向性へと転換しました。

桜井が就任した際、酒の品質が低く、魅力も不足していましたが、彼は品質を追求し、社員による製造体制を導入しました。これにより、杜氏に頼らず社員がデータに基づいた製造を行うことで、従来の酒造りの常識を覆しました。さらに、東京市場に向けた積極的なマーケティングを行ったことで、獺祭は次第に人気を獲得し、世界20ヵ国に輸出されるほどの成長を遂げました。

経歴

桜井が社長に就任してから、純米大吟醸酒の製造を目指して試行錯誤が始まり、1990年には精米歩合50%の獺祭が登場し、92年には精米歩合23%の製品も市場に出ました。これにより獺祭の評判が広まり、多くの人々に支持を受けるようになりました。2016年には年間売上高が100億円を超え、2023年には174億円に達し、業界での地位を強化しました。

獺祭の製造スタイルは独特で、一般的な酒造りに必須とされる杜氏が不在です。杜氏が不在になったきっかけは、地ビール事業の失敗でしたが、その後、経験や知識を数値化し、データに基づいた酒造りが実現しました。「四季醸造」として知られるこの手法により、年間を通じて酒造りを行い、さらに精米過程や発酵管理が徹底されています。これにより品質も大幅に向上しました。

また、流通の方法も特異で、認定された正規取扱店に直接卸す方式を採用しています。この手法により、酒の品質管理がより適切に行われています。ただし、この方式のために需要に対して供給が不足し、高値で取引される場合も多く、適正価格での販売を呼びかけるなどのプロモーションも行われています。

今後の展望

2017年には、ニューヨーク州に新たな酒蔵を建設する計画を発表し、現地特有の米を用いた別ブランドの酒を生産することを目指しました。また、2023年にはその新しい酒蔵が操業を開始し、初めての「DASSAI BLUE」が市場に登場しました。国際市場においてもその地位を強化しています。

さらに、宇宙での日本酒造りにも挑戦しており、2024年には国立研究開発法人JAXAの支援を受け、宇宙での醸造が計画されています。このように、獺祭は日本酒の新たな可能性を追求し続けています。

以上のように、株式会社獺祭はその独自の製法と理念で、高品質の日本酒を生産し、国内外での成長を遂げている企業です。

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