玉前神社

玉前神社について

玉前神社（たまさきじんじゃ）は、千葉県長生郡一宮町に位置する歴史ある神社です。古くは上総国の一宮として、地域の人々から厚く信仰されてきました。

祭神

玉前神社の祭神は、玉依姫命（たまよりひめのみこと）です。

玉依姫命
社伝によると、玉依姫命は海からこの地に上陸し、豊玉姫命から託された鵜葺草葺不合命（うがやふきあえずのみこと）を養育したとされています。その後、鵜葺草葺不合命と結婚し、神武天皇（初代天皇）を産んだと伝えられています。

文献上では祭神は1座とされていますが、古社記には鵜茅葺不合命の名前も併記されており、また、別の説では前玉命や天明玉命とするものもあります。

歴史

創建年代は不明ですが、永禄年間の戦火により社殿や古記録が焼失したため、詳しいことは分かっていません。しかし、鎮座から少なくとも1200年以上経過していると考えられています。

『延喜式神名帳』への記載
延長5年（927年）に成立した『延喜式神名帳』には、上総国埴生郡に「玉前神社 名神大」として記載されており、名神大社に列せられています。このことからも、古くから重要な神社として認識されていたことがわかります。
江戸時代の社殿造営
現在の社殿は、江戸時代の貞享4年（1687年）に造営されたものです。
近代の社格
明治4年（1871年）には、近代社格制度において国幣中社に列せられました。その後、明治33年（1900年）と大正12年（1923年）には、社殿の改修が行われています。

神階

玉前神社は、歴史の中で神階も授与されています。

貞観10年（868年）7月27日：従五位上勲五等から従四位下勲五等へ（『類聚国史』）
元慶元年（877年）5月17日：従四位上勲五等から正四位下勲五等へ（『日本三代実録』）
元慶8年（884年）7月15日：正四位上勲五等へ（『日本三代実録』）

境内

玉前神社の社殿は、本殿・幣殿・拝殿がつながった権現造で、江戸時代の貞享4年（1687年）に造営されました。これらの社殿は千葉県指定文化財となっています。

摂末社

境内には、以下の摂末社があります。

招魂殿：一宮出身の戦没者325柱を祀っています。
十二社：一宮町内にあった12社を合祀したものです。
三峯神社

祭事

玉前神社では、年間を通して様々な祭事が行われています。

例祭

例祭は、毎年9月13日に行われます。「上総十二社祭り」または「上総裸祭り」とも呼ばれる裸祭りで、千葉県の無形民俗文化財に指定されています。

上総神楽

約300年の歴史を持つ太太神楽（だいだいかぐら）も奉納されます。かつては36座あったものが、現在は25座が伝承されており、年に数度奉納されます。こちらも千葉県の無形民俗文化財に指定されています。

文化財

玉前神社には、多くの文化財が所蔵されています。

国指定重要文化財

梅樹双雀鏡：工芸品で、千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。

千葉県指定文化財

有形文化財
玉前神社社殿と棟札：建造物
無形民俗文化財
玉前神社神楽
上総十二社祭り

一宮町指定文化財

有形文化財
萌黄縅胴丸：工芸品で、千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。
松喰鶴鏡：工芸品で、千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。
蓬萊鏡：工芸品で、千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。
里見義頼寄進状：古文書で、千葉県立中央博物館大多喜城分館に寄託されています。
史跡
芭蕉の句碑
天然記念物
イヌマキの群生

現地情報

所在地：千葉県長生郡一宮町一宮3048
交通アクセス
鉄道：JR東日本外房線 上総一ノ宮駅より徒歩7分
車：首都圏中央連絡自動車道（圏央道）茂原長南IC
周辺
* 観明寺：元別当寺。金毘羅堂（一宮町指定文化財）は明治12年（1879年）に玉前神社境内から移築されました。

まとめ

玉前神社は、古代から続く歴史と文化が息づく神社です。美しい社殿や数々の文化財、そして地域の人々によって大切に守り伝えられてきた祭事は、訪れる人々を魅了します。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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