玉山 (台湾)

玉山（ユイシャン）

玉山（ぎょくざん、ユイシャン、拼音: Yù Shān）は、台湾島に位置する標高3,952mの山で、台湾最高峰であり、東アジアにおいても有数の高さを誇ります。その壮大な姿は、古くから人々に畏敬の念を抱かせてきました。

名称

玉山は、時代や民族によって様々な名前で呼ばれてきました。

ツォウ族：パトゥンクオヌ（patungkuonʉ）
ブヌン族：Saviah, Savih
カナカナブ族：Tanungu'incu
清代：八通関山、雪山
欧米：モリソン山（Mount Morrison）
日本統治時代：新高山（にいたかやま）

日本統治時代には、富士山よりも高い山として、明治天皇により「新高山」と命名されました。しかし、皮肉にも、新高山の周辺に住むブヌン族は、日本の統治に最後まで抵抗を続けました。

歴史

日本統治時代

1895年、台湾が日本の統治下に入ると、玉山は「モリソン山」と呼ばれていましたが、1897年に「新高山」と改称されました。これは、富士山を超える日本一高い山という意味が込められています。

新高山は、当時の日本の学校で「日本一の山」として教えられ、1937年には「新高阿里山国立公園」として国立公園にも指定されました。また、1941年の日米開戦の暗号電文「新高山登レ一二〇八」にも、この山が使われています。

しかし、新高山周辺では、ブヌン族による抵抗運動が頻発しました。特に、1932年の大関山事件や1941年の内本鹿事件では、多くの日本人警察官が犠牲となっています。

戦後

第二次世界大戦後、台湾が中華民国に返還されると、山名は「玉山」に戻されました。その後、玉山は「重要な軍事拠点」とされ、入山には中華民国政府の許可が必要となりました。現在では、自然保護の観点から入山制限が設けられていますが、事前に申請すれば入山が可能です。

2014年には、玉山と富士山の間で友好山提携が締結されました。

入山規制

玉山への入山には、以下の規制があります。

登山日の1か月前までの事前申請
山小屋宿泊の予約（抽選制、平均約8倍の倍率）
登山口での入山証の提出と本人確認

事前申請なしでの入山は、罰金および1年間の域内立ち入り禁止となります。

登頂

1900年4月11日、日本の人類学者、鳥居龍蔵が玉山登頂に成功しました。それ以前に登頂を達成した人物を示す文献は確認されていません。

標高

玉山の標高は、公式には3,952mとされていますが、1995年と1999年の衛星測量では3,978mと計測されています。日本統治時代には3,950mとされていました。

玉山は、朝鮮半島の白頭山や中国大陸東部の太白山よりも高く、中国西部やモンゴルを中央アジアとする立場からは「東アジア最高峰」と呼ばれることもあります。

アクセス

かつては、細い山道しかありませんでしたが、1991年に新中部横貫公路が開通し、アクセスが大幅に向上しました。

紙幣、切手に描かれている玉山

玉山は、台湾の1000元紙幣や切手にも描かれています。これは、玉山が台湾を象徴する山として、人々に愛されている証拠と言えるでしょう。

紙幣

台湾1000元紙幣（玉山北峰からの風景と帝雉が描かれている）
民国88年製（1999年発行、2007年流通停止）
民国93年製（2004年発行、偽造防止強化）

切手

大正12年（1923年）台湾総督府発行　皇太子台湾訪問記念切手 新高山 1銭5厘（黄色）3銭（黒色）
民国90年（2001年）特421臺灣山岳郵票　玉山主峰、玉山西峰（各5元/300万枚）、玉山北峰（12元/250万枚）、玉山東峰（25元/250万枚）

関連項目

新高阿里山国立公園
雪山 (台湾)（日本統治時代、「次高山」と呼ばれていた）
富士山（現・日本最高峰）
新高八景
新高 (ナシの品種)
新高(防護巡洋艦)
羅生門綱五郎（四股名：新高山一郎）

外部リンク

玉山国家公園 - 日本語ページもあり


玉山は、台湾の歴史と文化、そして美しい自然を象徴する山です。登山に訪れる際には、事前の準備と規制の遵守を心がけ、安全に楽しんでください。

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