玉造 (大阪市)

玉造：歴史と文化が織りなす大阪の街

はじめに

大阪市中央区と天王寺区にまたがる玉造は、歴史と文化が深く根付いた地域です。その地名は、古墳時代に勾玉などの製作を行っていた玉作部（たまつくりべ）に由来するとされています。古くから交通の要衝として栄え、大坂城築城や石山合戦など、幾多の歴史的出来事を舞台にしてきました。現在も、カトリックの中心地として知られる聖マリア大聖堂をはじめ、多くの歴史的建造物や文化施設が残されています。

地理と近隣地域

玉造と名のつく町名は、中央区玉造と天王寺区玉造本町・玉造元町がありますが、周辺地域を含め、広義では森ノ宮、法円坂、上町、真田山町、空堀町、清水谷町、餌差町、中道、東小橋なども玉造と呼ばれることがあります。上町台地に位置し、文教地区としても知られています。

歴史の舞台

玉造は古くから交通の要所であり、奈良、八尾、信貴山方面へ向かう古道が交差していました。高安（現在の八尾市神立地区）の玉造部とも交流があったとされています。大坂城築城の際には、当初は町人地でしたが、慶長初期の三の丸造営により大坂城の一部となり、多くの武将の屋敷が置かれました。しかし、大坂の陣で焼失。その後、松平忠明による復興を経て、武家地・町人地・年貢地が混在する地域となりました。

江戸時代には、玉造黒門越瓜という特産品が栽培されていました。この「黒門」は、豊臣期の大坂城の玉造門が黒く塗られていたことに由来します。しかし、猫間川の水運の衰退や明治維新後の武家屋敷の破却により、経済が衰退し、1873年には大阪市街から切り離されました。

明治以降の変遷

明治時代には、玉造町人地は大阪東大組、大阪南大組に属していました。その後、町村制施行、大阪市編入を経て、現在の行政区画となりました。区の境界変更などにより、現在の中央区玉造と天王寺区玉造本町・玉造元町という構成になりました。

文化と宗教

玉造は、カトリックの布教拠点として知られています。大阪高松大司教区の司教座聖堂である聖マリア大聖堂は、その象徴的な存在です。他にも多くの教会や関連施設があり、独特の文化的雰囲気を醸し出しています。一方、プロテスタント系の大阪女学院もこの地で発展を遂げており、宗教的な多様性も見られます。

交通と施設

玉造駅（JR環状線、Osaka Metro長堀鶴見緑地線）が地域の交通の中心となっています。周辺には、玉造稲荷神社、大阪市立玉造小学校、大阪女学院大学、大阪女学院中学校・高等学校、城星学園などの教育機関や、森下仁丹本社、商業施設などが数多くあります。また、近隣には森ノ宮駅、鶴橋駅、谷町六丁目駅などがあり、交通アクセスは良好です。

著名な出身者

小説家の堺屋太一氏、プロ野球監督の岡田彰布氏、漫才作家の秋田實氏などが玉造ゆかりの有名人です。

まとめ

玉造は、歴史と文化、そして現代の生活が調和した魅力的な地域です。古くからの歴史と、カトリック文化が深く根付いた独特の雰囲気、そして便利な交通アクセスや充実した生活環境が、多くの人々を惹きつけています。これからも、この街の歴史と文化が大切に守られ、発展していくことを願っています。

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