王 (皇族)

王の身位とその歴史

日本の皇族における「王」という称号は、明確な定義と歴史があります。現在の法律においては、皇室典範に基づき、王は皇族の身位の一つであり、皇位継承と深く関わっています。皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃および女王と共に皇族に分類され、敬称は「殿下」とされます。

現行の皇室典範と王の身位

皇室典範第五条では、皇族の範囲を規定し、王は歴代天皇の直系卑属の男系男子に与えられる身位です。皇位を継承した場合には、その兄弟姉妹が親王や内親王の身位に変更されることも定められています。現在のところ、王の称号を有する者は存在しません。

歴史的背景

「王」という称号の初めての登場は、古事記にまで遡ります。応神天皇以降の天皇の男系子孫を「王」と表記し、世数によって表記の揺れがありました。律令時代には、称号の整理が行われ、天皇の兄弟や一世子女が親王、二世孫以下が王と定められました。

その後、皇親の範囲も度々変更され、皇族の称号が皇親と相関していました。平安時代には、王の数が多くなりすぎたため、政府は臣籍降下を進め、王の数を抑制しました。これに伴い、平安時代中期には王号を名乗る権利が厳格化され、実質的に世襲されることが増えました。

明治から昭和までの変遷

明治維新を経て、皇族の称号は再び整理され、二世から四世が王と認められることとなりました。1889年には皇室典範が制定され、王号を名乗る者が増加し、さらに昭和22年には伏見宮系の皇族が臣籍降下することによって、王号保有者は完全に不在となりました。これ以降、王の称号を持つ者の誕生は無く、現在に至ります。

その他の王

日本以外でも、「王」の称号が存在します。韓国の李王家や琉球国王として名を馳せた尚泰王は、その例です。しかし、これらは日本の皇族とは異なる文脈での王族に該当します。また、聖徳太子や道鏡など歴史的な人物も、王としての身位ではありませんでした。

まとめ

「王」という称号は、日本の皇族の中で特異な存在であり、歴史や法律によってその意味合いが変化してきました。現在では王の身位を有する者はおらず、王という称号は歴史的なものであることが強調されます。今後も、王の位置付けや意味を掘り下げることが重要です。

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