王愉 (東晋)

王愉（おう ゆ）

王愉（生年不詳 - 元興3年3月4日（404年3月30日））は、中国東晋時代の官僚であり、字は茂和、本貫は太原郡晋陽県です。名門貴族の出身でありながら、政争に巻き込まれ、波乱の生涯を送りました。

経歴

王愉は、王坦之の次男として生まれました。隆安元年（397年）、王恭らが王国宝を討伐しようとした際、王愉は解職を申し出ました。これは、王愉が王国宝とは異母兄弟であり、普段から仲が悪かったため、連座を避けるための行動でした。王国宝の死後、王愉は江州刺史、都督豫州四郡諸軍事、輔国将軍、仮節に任じられました。その後、驃騎司馬に転じ、輔国将軍の号を加えられました。

隆安2年（398年）、殷仲堪、桓玄、楊佺期らが王恭に呼応して挙兵し、長江を東へ下ると、江州にいた王愉は臨川へ逃亡しましたが、桓玄に捕らえられました。桓玄が尋陽で盟約を行う際、王愉は壇を設置する役目をさせられ、この事を非常に恥じました。解放後、王愉は会稽国内史に任じられました。

元興2年（403年）、桓玄が帝位を簒奪すると、王愉は尚書僕射に任命されました。しかし、その支配は長くは続きませんでした。元興3年（404年）、劉裕らが桓玄打倒のために挙兵すると、王愉は前将軍の号を与えられました。しかし、王愉は名門貴族の出身であることを鼻にかけ、劉裕を軽視していました。彼は密かに司州刺史の温詳と結び、劉裕を排除する計画を企てました。

しかし、その陰謀は露見し、王愉は3月辛酉に子の王綏らと共に処刑されました。名門の出身でありながら、時代の波に乗り切れず、悲劇的な結末を迎えたのです。

子女

王綏（字は彦猷）：桓玄の下で太尉右長史となり、桓玄が皇帝を名乗ると中書令に昇進しました。劉裕らが挙兵すると冠軍将軍となり、その後荊州刺史・仮節に任じられましたが、父の陰謀に連座して処刑されました。
王納：父の陰謀に連座して処刑されました。
王緝：散騎侍郎。

伝記資料

『晋書』巻75 列伝第45

王愉の生涯は、東晋末期の混乱した政治情勢を色濃く反映しています。名門の生まれでありながら、時代の変化に対応できず、最終的には滅亡に至った彼の姿は、歴史の教訓として語り継がれています。

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