王景 (翰林学士)

王景（おう けい）

王景は、明代初期の官僚であり学者として知られています。字は景彰、号は常斎と称しました。その生涯は、明朝の創設期から永楽帝の時代まで、激動の時代と重なります。彼は処州松陽県（現在の浙江省麗水市松陽県）を本貫とし、後至元2年（1336年）に生まれ、永楽6年（1408年）に73歳で亡くなりました。

生涯

洪武帝の時代

王景は、洪武帝の治世初期に、その才能を認められ懐遠教諭に任命されました。彼の博学ぶりは洪武帝の耳にも届き、宗廟祭祀における音楽の詩詞の作成を命じられました。また、諸侯王が朝見する際の儀礼を定めるという重要な役割も担いました。

官僚としての道

その後、王景は官僚として順調に出世し、山西参政という要職に就任しました。しかし、後に雲南へ流されるという不運に見舞われます。この背景には、当時の政治的な混乱があったと考えられます。しかし、彼の才能は埋もれることなく、建文元年（1399年）に張紞の推薦によって南京に召還され、礼部侍郎と翰林院侍講を兼任することになりました。

『太祖実録』の編纂

王景は、董倫と共に『太祖実録』の編纂という重要な事業の総裁官を任されました。この実録は、明朝の創始者である洪武帝の治世を記録したものであり、歴史的に非常に価値の高い資料です。この事業を通して、王景は歴史家としても名を残すことになりました。

永楽帝の時代

建文4年（1402年）に永楽帝が即位すると、王景は翰林院学士に抜擢されました。永楽帝は、建文帝の葬礼について王景に意見を求めました。この時、王景は「天子の礼を用いるべきです」と進言しました。永楽帝は、この進言を容れ、建文帝の葬礼は天子の礼をもって執り行われました。この出来事は、王景の政治的判断力と勇気を示すものとして知られています。

死去

王景は、永楽6年7月13日（1408年8月4日）に在官のままこの世を去りました。享年は73歳でした。彼の著書には、『玉堂稿』があります。

家族

王景は、二人の妻と五人の息子がいました。

妻
毛氏（先妻）
李氏（後妻）
息子
王宏
王荊（早逝）
王誠
王信克（後継者）
王貫

まとめ

王景は、明代初期という激動の時代において、官僚、学者、そして歴史家として多岐にわたる才能を発揮しました。彼の功績は、明朝の政治や文化に大きな影響を与えたと言えるでしょう。洪武帝と永楽帝の二代に仕え、その両方から信頼された人物としても知られています。

参考文献

『明史』巻152 列伝第40
* 翰林院学士王公景彰墓碑銘（徐紘『明名臣琬琰録』巻13所収）

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