王汝玉

王汝玉（おう じょぎょく、生年不詳 - 1415年）は、明代に活躍した文人であり、官僚でもありました。名は璲（すい）、字は汝玉（じょぎょく）といい、字をもって広く知られています。また、青城山人（せいじょうさんじん）という号も持っていました。彼の本貫は蘇州長洲県です。

生涯

王汝玉は、幼い頃からその才知の鋭さと並外れた記憶力を示していました。若くして著名な学者である楊維楨（よう いしん）に師事し、学問を修めました。17歳という若さで郷試に合格し、その才能を早くから開花させました。建文4年（1402年）7月には、応天府学訓導の職から翰林院五経博士へと異例の抜擢を受けました。

永楽元年（1403年）には、翰林院検討に進み、さらに永楽2年（1404年）4月には、翰林院検討を兼任したまま、右春坊右賛善へと昇進しました。この時期、彼は『永楽大典』の編纂という国家的な事業に携わり、その学識を大いに発揮しました。また、詩人としても才能を発揮し、皇太子朱高熾（しゅこうし）から特別な寵遇を受けました。皇太子が臣下たちに「神亀賦（しんきふ）」を詠むように命じた際、王汝玉が第一位、解縉（かいしん）が第二位であったことは、彼の詩才が傑出していたことを物語っています。王汝玉は毎日文華後殿で詩作の方法について太子に教え、その才能を高く評価されていました。

しかし、永楽7年（1409年）には、『礼書』の編纂事業において制度を乱したとして罪に問われ、一兵士として辺境に流罪となりました。しかし、皇太子朱高熾が監国となると、王汝玉は赦免され、翰林院典籍として復帰、ほどなく左賛善に進みました。ところが、永楽13年（1415年）、解縉の罪に連座するという不運に見舞われ、獄中で命を落としました。洪熙元年（1425年）には、太子賓客の位が追贈され、諡として文靖（ぶんせい）が贈られました。彼の著書には『青城山人詩集』8巻があり、その詩才は後世にまで伝えられています。

王汝玉は、その才能を早くから認められ、官僚としても文人としても目覚ましい活躍をしましたが、晩年は政治的な波に翻弄され、不遇の死を遂げました。しかし、彼の残した業績と詩は、明代の文化史において重要な位置を占めています。その生涯は、才能がありながらも政治の動向に左右された、官僚文人の典型的な例として、後世に教訓を残しています。

参考文献

* 『明史』巻152 列伝第40

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