王逢時

王逢時（おう ほうじ、生年不詳 - 紀元前12年）は、前漢後期の人物であり、字（あざな）は季卿（きけい）と称しました。彼は魏郡元城県委粟里（ぎぐんげんじょうけんいぞくり、現在の河北省邯鄲市一帯）の出身です。

王逢時は、王禁（おうきん）の子として生まれました。彼の異母姉にあたる王政君（おうせいしゅん）は、成帝（せいてい）の生母として皇太后となり、また異母兄の王鳳（おうほう）は、成帝の時代に大将軍として政治を執り行いました。王逢時は、このような権力者たちを親族に持つという立場にありました。

河平2年（紀元前27年）には、王逢時は兄である王譚（おうたん）、王商（おうしょう）、王立（おうりつ）、王根（おうこん）と共に列侯に封じられました。この時、王逢時は高平侯（こうへいこう）に封じられ、彼ら兄弟は合わせて「五侯（ごこう）」と呼ばれました。当時の朝廷において、王氏一族の勢力が非常に大きかったことがうかがえます。

しかしながら、兄たちが朝廷の要職を占めて活躍したのに対し、王逢時自身は特に目立った能力を持っていたわけではありませんでした。彼は政治や軍事において特筆すべき功績を残すことはありませんでした。

元延元年（紀元前12年）、王逢時は亡くなりました。死後、戴侯（たいこう）と諡（おくりな）されました。高平侯の爵位は、彼の息子である王買之（おうばいし）が継承しましたが、後に王莽（おうもう）が滅ぼされると、王氏一族の勢力は衰退し、高平侯の家系も断絶しました。

王逢時の生涯は、彼自身の能力というよりも、むしろ王氏一族の隆盛という時代背景に大きく左右されたものでした。彼は、一族の繁栄を享受した一方で、歴史に名を残すほどの功績を残すことはありませんでした。しかし、彼の存在は、当時の政治情勢や社会構造を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

参考文献：
班固著『漢書』巻18 外戚恩沢侯表
班固著『漢書』巻98 元后伝

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