王鉷

王鉷（おうきょう）とその生涯

王鉷（おうきょう）は、唐代の玄宗期に活躍した官僚であり、その卓越した経済的な手腕と権力の行使によって知られています。彼の生誕年は不明ですが、752年に亡くなりました。本貫は太原郡祁県で、歴史的には名将王方翼の孫として知られています。しかし、彼自身の業績や影響力は、単なる家柄に留まらないものでした。

経歴の概要

王鉷は開元10年（722年）に県尉に就任し、その後京兆尹の判官へと昇進しました。開元24年には、父の従兄弟である楊慎矜の推薦を受け、監察御史に任命されました。そして、開元29年には侍御史に昇格しました。その功績により、天宝2年（743年）には京和市和糴使と戸部郎中に昇進し、権力を増していきました。この時期、玄宗と宰相李林甫の対立が深まる中、王鉷は李林甫との関係を築くことで権勢を強化しました。

唐の政局と権力の移り変わり

天宝3載（744年）、王鉷は京兆尹の韓朝宗に対する事件の詮議を命じられました。この事件をきっかけに彼は長春宮使を兼務し、さらなる権力を握ることとなります。続く天宝4載（745年）には、戸口色役使に就任し、百姓を故郷に帰すための勅命を取りやめ、その代わりに税収を増やす手腕を見せました。彼は様々な方法で多額の税金を徴収し、その結果、多くの家が破産に至る事態を招きました。

天宝シリーズと権力の拡大

王鉷は、玄宗が臣下に恩賞を与える際には、政府の資金ではなく収奪した財産を使うことで、富国の術を発揮し、結果として重用されることになりました。その後、御史中丞や京畿採訪使に任命されるなど、彼の権力は増大していきます。最終的に、王鉷は京兆尹として二十以上の職を兼務するに至り、自らの権勢を誇示しました。

権力の失墜と悲劇

しかし、王鉷の運命は予測できないものとなります。天宝11載（752年）、彼の弟である王銲と邢縡が謀反を計画した際、王鉷は庇護する姿勢を示しました。この結果、彼は楊国忠らの攻撃を受け、最終的に賜死を命じられ、権力の絶頂から転落しました。王鉷の死後、財産は没収され、その記録には数日かかるほどだったと言われています。家族や子供たちも流刑となり、悲劇的な結末を迎えました。

逸話と人柄

王鉷は庶子として生まれながらも、父の正妻や弟に対して非常に孝行であったと言われています。また、彼の庭には「自雨亭»という涼しい亭があり、訪れた人々に心地よい空間を提供していました。彼の生涯は、権力の頂点を極めながらも、最終的には悲劇に終わってしまった一人の官僚の物語として、後の世に語り継がれています。

参考文献

• - 『旧唐書』巻百五 列伝第五十五「王鉷伝」
• - 『新唐書』巻百三十四 列伝第五十九「王鉷伝」
• - 『資治通鑑』

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