王音

王 音（おう おん、生年不詳 - 紀元前15年）は、前漢後期の政治家です。彼は王政君（成帝の生母）の叔父である王弘の子として生まれ、魏郡元城県委粟里を出身地とします。

出世の経緯

王音は、河平3年（紀元前26年）に侍中・中郎将から侍中・太僕へと異動しました。この頃から、彼は政治の中枢に近い位置にいたことがわかります。

王鳳との関係

王音の出世において、特に重要な出来事がありました。それは、京兆尹の王章が、当時権勢を振るっていた大司馬・大将軍・領尚書事の王鳳（王政君の兄）を排除しようと画策した際のことです。王章は成帝に密かに進言しましたが、侍中であった王音がこの密談を盗み聞きし、王鳳に報告しました。この情報により、王鳳は王章の企みを事前に阻止し、自身の権力を守り抜くことができました。この功績が認められ、王音は陽朔2年（紀元前23年）には御史大夫に昇進しました。

大司馬への道

陽朔3年（紀元前22年）、王鳳は病に倒れ、後継者について遺言を残しました。彼は、仲の悪かった弟の王譚ではなく、日頃から自分を慕い、今回の功績もあった王音を後継者とするよう成帝に進言しました。その結果、王音は同年中に大司馬・車騎将軍という要職に就き、鴻嘉元年（紀元前20年）には安陽侯に封ぜられました。この時、3000戸の領地を与えられています。

清廉な人物として

当時の外戚王氏は、権力を独占し、贅沢や横暴を極めており、世間や成帝からの評判は芳しくありませんでした。しかし、王音は、そのような状況下でも諫言を行うなど、忠節を尽くした人物として知られています。

死とその後

王音は、永始2年（紀元前15年）に亡くなりました。敬侯と諡され、彼が務めていた大司馬衛将軍の職は、王商が引き継ぎました。安陽侯の爵位は、子の王舜が継承しています。

参考文献

『漢書』巻18 外戚恩沢侯表
『漢書』巻19下 百官公卿表下
* 『漢書』巻98 元后伝

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