ホルンフェルス

ホルンフェルスとは

ホルンフェルス（hornfels）は、マグマなどの熱によって変成した接触変成岩の一種です。主に堆積岩が熱変成作用を受けることで生成されます。その特徴は、非常に硬く緻密な組織を持つことです。

語源

ホルンフェルスの名前は、ドイツ語の「Horn（角）」と「Felsen（崖・岩石）」という言葉に由来しています。この名前は、その岩石が非常に硬く、角のように見えることに起因していると考えられています。一般的には、フランスの鉱物学者ブロンニャールが1827年に命名したとされていますが、ブロンニャール自身は、ドイツの地質学者アブラハム・ゴットロープ・ウェルナーが命名者であると述べています。

分類

ホルンフェルスは、その生成過程や構成鉱物によっていくつかの種類に分類されます。

原岩による分類

ホルンフェルスの元となる岩石（原岩）の種類によって分類する方法です。主な原岩としては、泥岩や砂岩などの堆積岩があります。

泥質ホルンフェルス (pelitic hornfels)：原岩が泥岩の場合です。
砂質ホルンフェルス (psammitic hornfels)：原岩が砂岩の場合です。

原岩が石灰岩の場合は結晶質石灰岩（大理石）、チャートの場合は珪岩となります。

生成鉱物による分類

ホルンフェルス中に特徴的に見られる鉱物によって分類する方法です。特に泥質ホルンフェルスには、菫青石、紅柱石、珪線石などが含まれることが多く、これらの鉱物は、形成時の温度や圧力条件を知る上で重要な指標となります。また、熱源となるマグマを中心に同心円状の構造を示すこともあります。

紅柱石ホルンフェルス (andalusite hornfels)：紅柱石の結晶を含むものです。
菫青石ホルンフェルス (cordierite hornfels)：菫青石の結晶を含み、その見た目から「桜石」とも呼ばれ、装飾品として利用されることもあります。特に、京都府京都市や亀岡市で産出される桜石は有名で、国の天然記念物にも指定されています。

特徴と利用

ホルンフェルスは、その硬さと緻密さから、古代には石器の材料として利用されていました。実際に、岩手県で発見されたチョッピング・トゥールは、ホルンフェルスで作られています。現代では、その美しい見た目から装飾品や建築材料としても利用されています。

ホルンフェルスの研究

ホルンフェルスは、その生成過程や構成鉱物を調べることで、過去の地質環境やマグマの活動を知る手がかりとなります。特に、生成鉱物の種類や分布を分析することで、変成作用時の温度や圧力条件を推定することが可能です。

関連情報

岩石
変成岩
岩石の一覧
須佐ホルンフェルス

外部リンク

ホルンフェルス（地質標本館）

参考文献

都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、ISBN 4-320-00205-9
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、ISBN 4-320-04578-5
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、ISBN 4-586-30013-2
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5
松藤和人『日本列島人類史の起源 -「旧石器の狩人」たちの挑戦と葛藤-』雄山閣、2014年。ISBN 978-4-639-02313-5 C0021。

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