琉王優貴

琉王優貴（りゅうおう ゆうき）は、1945年2月25日に大分県中津市で生まれ、後に沖縄県那覇市で育った元大相撲力士です。本名を島武光といい、後に神田武光に改名しました。朝日山部屋に所属し、身長176cm、体重130kgの体格で、突きや押しを得意としました。最高位は西前頭筆頭で、1973年9月場所で達成しました。特筆すべきは、沖縄県出身者として初めて関取になった力士であるという点です。

生い立ちと入門

琉王は、疎開先の大分県で生まれ、アメリカ占領下の沖縄で少年時代を過ごしました。中学卒業後、奄美大島の奄美高校に進学し、柔道部で活躍しました。高校2年の夏休みに上京した際、同じ奄美群島出身の横綱・朝潮を訪ねたものの、巡業中で会えず、道に迷っていたところを朝日山親方の夫人に声をかけられたのがきっかけで、相撲界への道が開かれました。奄美大島に戻った後、朝日山部屋からの勧誘を受け、「柔道では金にならないが、相撲なら稼げるだろう」と考え、1962年11月場所で初土俵を踏みました。

苦難と改名

入門当初は幕下で伸び悩み、廃業して自衛隊に入隊しようと考えましたが、日本国籍が必要だと知り断念しました。その後、再び廃業を考えた際、「どうせ辞めるなら、大きな四股名にしよう」と思い立ち、「琉王」と改名しました。改名後、稽古をせずにちゃんこをたくさん食べたところ、体重が増加し、押し相撲に威力が出るようになりました。これがきっかけで稽古にも励むようになり、1970年11月場所で新入幕を果たし、沖縄県出身初の幕内力士となりました。

幕内での活躍

新入幕の場所では、ハワイ出身の高見山と対戦し勝利しました。当時の沖縄は外国扱いだったため、この一番は外国出身力士同士の対戦として注目を集めました。琉王自身も、この一番を引退時に思い出に残る一番として挙げています。1972年5月15日の沖縄返還の日には、鹿児島県出身の錦洋を破り、大歓声と拍手を浴びました。1974年5月場所では、横綱・輪島を押し出しで破り、金星を獲得しました。また、大関昇進前の北の湖にも2勝1敗と勝ち越しましたが、四つ相撲は苦手で、幕内で9勝以上を挙げた場所はなく、三賞とは無縁でした。

引退とその後

1975年10月、師匠の朝日山親方が急逝すると、琉王が朝日山部屋の後継者に決まりましたが、暫定的に部屋を継承した元小結・若二瀬との対立が激化しました。その結果、年寄名跡を得ることができず、1976年11月場所、幕下48枚目の時に31歳で廃業しました。同時に、先代に勧誘されて入門し、琉王を慕っていた6名のトンガ出身力士も廃業・帰国する、いわゆる「トンガ騒動」が起こりました。引退後は、東京都台東区上野で相撲料理店を経営していましたが、2004年に脳梗塞で体調を崩し、沖縄県豊見城市の施設で療養していました。2015年6月28日、脳梗塞のため70歳で亡くなりました。

エピソード

入門時に高校を卒業させるという約束があったため、奄美高校から日本橋高校の夜間部に編入しました。そのため、1965年頃まで髷を結うことができず、幕下付出力士と間違えられることもあったそうです。この特別な配慮が若二瀬との確執の原因となり、トンガ人力士廃業騒動の一因になったとも言われています。幕内で勝ち越した14場所は全て8勝7敗という珍しい記録を残しました。

主な戦績

通算成績: 443勝458敗14休 勝率.492
幕内成績: 183勝237敗 勝率.436
幕内在位: 28場所
金星: 1個（1974年5月場所、輪島から）

改名歴

島（しま、1963年1月場所-1963年7月場所）
二瀬冨士（ふたせふじ、1963年9月場所-1966年1月場所）
黒潮（くろしお、1966年3月場所-1967年1月場所）
二瀬冨士（ふたせふじ、1967年3月場所-1969年1月場所）
* 琉王（りゅうおう、1969年3月場所-1976年11月場所）

琉王優貴は、その独特なキャラクターと波乱に満ちた人生で、多くの相撲ファンに記憶される力士です。

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