甘木観光バス

株式会社甘木観光バス

福岡県朝倉市に本社を構える株式会社甘木観光バスは、朝倉市（主に旧甘木市エリア）を中心に、地域に根ざしたバス事業を展開する交通事業者です。「甘観（あまかん）」という略称で親しまれています。

事業の成り立ちと展開

設立当初は貸切バス事業やタクシー事業を手掛けていましたが、地域における公共交通の再編に伴い、事業内容を拡大しました。2001年4月1日、西日本鉄道が甘木幹線を除く甘木市内およびその周辺路線から撤退したことを受け、甘木観光バスがこれらの路線を引き継ぐ形で乗合バス（路線バス）事業に新規参入しました。これにより、地域における重要な交通手段としての役割を担うことになります。かつて行っていたタクシー事業については、2022年4月24日をもって事業譲渡により撤退しています。

本社は甘木鉄道甘木駅の北側に位置し、貸切バスと路線バスの両事業を一元管理しています。また、甘鉄甘木駅前にバスの待機場所を設けているほか、西鉄甘木線馬田駅近くにも路線バスの車庫を設置しています。運行拠点を甘鉄甘木駅前のロータリーに置いている点が特徴で、西鉄時代に甘木バスセンター（甘木駅から約800m離れていた）を発着していた路線も、甘木観光バスへの移管後は全て甘鉄甘木駅前発着となったため、鉄道利用との乗り換え利便性が大幅に向上しました。なお、甘木バスセンター自体には乗り入れず、近傍の国道386号沿いに「甘木中央」停留所を設けています。福岡県貸切バス協会には加盟していますが、社団法人日本バス協会には加入していません。

路線バスの運行

甘木観光バスの路線バスは、朝倉市を中心として、一部は筑前町や久留米市田主丸町にも及んでいます。運行経路は西鉄時代のルートを概ね引き継いでいますが、本数は当時と比較してやや減便されています。運行情報については、朝倉市の公式ウェブサイトで路線図や時刻表が公開されているほか、営業所でも時刻表を入手できます。

現在の主要路線

秋月線: 朝倉市の中心部と観光地として知られる秋月地区を結びます。系統番号1番が秋月・野鳥方面、7月から9月のみ運行される2番がだんごあんまで向かいます。主に国道322号を経由し、本数は基本的に毎時1本、朝夕は増便されます。
田主丸線: 朝倉市中心部と久留米市田主丸町を結ぶ路線です。系統番号4番は朝倉医師会病院を経由し、5番は経由しません。主に県道33号を通り、日中は40分間隔で運行されています。田主丸中央バス停は西鉄とは異なる場所に設置されています。
三輪・山隈線: 朝倉市中心部から大刀洗町、筑前町方面へ向かう路線です。系統番号10番（千代丸経由）と20番（甘木インター口経由）があり、本数はほぼ2時間に1本と少なめです。筑前町方面へは西鉄バスルートより迂回する形となります。また、めくばーるから高上にかけては、行きと帰りで経路が変わる区間があります。
甘木市街地循環線: 2013年4月1日に運行を開始した、朝倉市街地を巡回する路線です。右回り（30番）と左回り（31番）があり、運賃は100円均一となっています。月曜日から土曜日の左回り便の一部には、ジャンボタクシー車両が使用されています。

過去の運行路線

地域内の交通ニーズの変化や他の代替手段の導入により、いくつかの路線は廃止されています。

松丸線: 2011年4月1日に廃止され、現在は乗合タクシーが代替しています。
長渕線: 2012年4月1日に廃止され、現在は「あいのりタクシー」が運行を引き継いでいます。
佐田線: 2010年4月1日に廃止。現在は「あいのりスクールバス（佐田コース）」が代替手段となっています。
矢野竹線: 2013年4月1日に廃止。現在は「あいのりタクシー矢野竹線」に代替されています。
* 美奈宜の杜線（美奈宜の杜線市街地コース含む）: 2013年4月1日に廃止。朝倉市中心部と美奈宜の杜地区を結んでいましたが、現在は「あいのりタクシー美奈宜の杜線」に再編されています。

乗車券について

甘木観光バスでは、現在、プリペイドカードや交通系ICカードは導入されていません。また、SUNQパス運営委員会にも非加盟のため、SUNQパスを利用することもできません。

利用可能な乗車券としては、普通運賃より割引になる回数券が数種類販売されています（一般用2種、小学校用2種）。また、60歳以上の方が利用できる全線乗り放題のフリー乗車券「ニューライフ60」も設定されています。

その他の事業と車両

路線バスのほか、一般向けの貸切バス事業も積極的に展開しています。また、特別支援学校のスクールバス運行も受託しています。かつては、旅行会社が企画するツアーバスの運行も請け負っていた時期があります。

車両については、一般路線バス車両は三菱製が中心で、2台のみ西工ボディを架装した車両が存在します。全ての路線バス車両はワンステップバスとなっています。市街地循環線の一部には、小型のジャンボタクシー車両が使われています。貸切バス車両も三菱製が主流ですが、トヨタのマイクロバスや、他社からの譲受車両として日野製の車両も保有しています。ボディは純正がほとんどですが、こちらも一部に西工ボディの車両が見られます。

車両のカラーリングは、一般路線バスと大型・マイクロバスの貸切車が白色と薄紫色のツートンカラーを基調としています。一般路線バスには「NEW LIFE AMAGI」のロゴが、大型貸切車には「風」の文字が入っています。一方、中型・小型の貸切車は白地に朱色、黄色、青色の帯が入ったデザインです。

朝倉市から委託されていた予約制デマンド交通「あいのりタクシー」の一部路線（美奈宜の杜線、矢野竹線）の運行も担当していましたが、現在は安全タクシーに移管されています。

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