甘粛等処行中書省

甘粛等処行中書省

甘粛等処行中書省（かんしゅくとうしょこうちゅうしょしょう、以下甘粛行省と略）は、元朝によって設置された行政機関であり、現在の中国の甘粛省および寧夏回族自治区の大半、さらに青海省の北東部、陝西省や内モンゴル自治区の一部をその管轄下に置いていました。これは元代の中国における重要な行政府の一つで、地域の行政や経済の管理を行っていました。

地理的範囲

甘粛行省の地理的な範囲は広く、現在の甘粛省・寧夏回族自治区・青海省の一部・陝西省及び内モンゴル自治区の北西部分を含んでおり、それは多様な民族と文化が交わる地域でありました。この広い範囲が甘粛行省の特色の一つであり、それが地域社会に与える影響も計り知れないものがあります。

歴史的背景

甘粛行省の起源は1261年（中統2年）の中興行省にさかのぼります。最初は中興行省として設立されましたが、1273年（至元10年）には廃止となり、四川行省に編入されます。しかしながら、1281年（至元18年）に再度設置されたものの、1285年（至元22年）には宣慰司に改編され、寧夏行省に移管されていました。

その後、1286年（至元23年）に甘州を中心に甘粛行省が設立されることにより、寧夏行省は廃止され、甘粛行省が新たにその役割を担うこととなります。この設立によって、甘粛地方の行政が一元化され、より効率的な管理が可能となりました。また、1282年（至元31年）に甘粛行省から寧夏行省が分割されましたが、1295年（元貞元年）には再び寧夏行省は甘粛行省に編入されました。

行政区画

甘粛行省はその運営のため、いくつかの下部行政区画を持っていました。これには、以下の地域が含まれます。

• - 甘州路
• - 永昌路
• - 粛州路
• - 沙州路
• - 亦集乃路
• - 寧夏府路
• - 兀剌海路
• - 山丹州
• - 西寧州

これらの区画は、それぞれ異なる地理的特徴や文化を持つ地域であり、行政の合理化を図るための重要な役割を担っていました。

関連項目

甘粛行省に関連する項目としては、元朝の行政区分や行中書省、さらには寧夏等処行中書省などがあります。これらは元代における地方治理の様子を理解する上で欠かせないものです。

参考文献

甘粛行省についての詳細な情報は、『元史』（中華書局）、『中国歴史地図集』（中国地図出版社, 1997年）、周振鶴による『中国行政区画通史 元代巻』（復旦大学出版社, 2009年）などの文献から得ることができます。これらの資料は、元朝の行政体制や地方区分についての理解を深める上で非常に有用です。

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