沙州路

沙州路の歴史と重要性

沙州路（さしゅうろ）は、中国の歴史において特にモンゴル帝国と大元ウルスの時代に重要な役割を果たした地域です。この区域は、現在の甘粛省敦煌市周辺に所在していました。かつて沙州は唐代から続く伝統的な地区であり、長らく西夏国の領土の一部でありましたが、1227年にチンギス・カンによって征服され、モンゴル帝国の支配下に入ります。

チンギス・カンは征服後、沙州を長男ジョチ家のバトゥに与え、その後もその領土に変化がありました。特に西夏国の領土の分配は、ジョチ・チャガタイ・オゴデイの三兄弟に均等に行われたことが特徴です。これは、モンゴルの高原地域における均等な分配の原則に基づいており、各王家がそれぞれの領域を相続したことを示しています。

1277年（至元14年）になると、沙州は州として正式に設立され、1280年には沙州路総管府に昇格しました。同時期、西方ではカイドゥによる中央アジアの征服が進行し、多くのチャガタイ系王族たちがモンゴル帝国へ亡命する事態が見られました。この流れの中で、沙州にはチュベイの息子ブヤン・ダシュが入ってきました。彼はこの地域の統治者となり、以降、ブヤン・ダシュ家が沙州を支配し続けました。

明朝が成立した後、朱元璋の指導のもと、沙州には「沙州衛」が設置されましたが、実際の支配権はブヤン・ダシュの末裔エルケシリに委ねられました。このように、沙州路は明代初期までの長い期間、特定の王家により支配され続けることとなりました。

管轄していた州

沙州路の管轄地域には以下の州が含まれていました。

• - 沙州
• - 瓜州

参考文献

• - 赤坂恒明「バイダル裔系譜情報とカラホト漢文文書」『西南アジア研究』66号、2007年
• - 杉山正明『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年
• - 松田孝一「チャガタイ家千戸の陝西南部駐屯軍団 (上)」『国際研究論叢: 大阪国際大学紀要』第7/8合併号、1992年
• - 村岡倫「モンゴル時代の右翼ウルスと山西地方」『碑刻等史料の総合的分析によるモンゴル帝国・元朝の政治・経済システムの基礎的研究』、2002年

このように、沙州路はモンゴルの歴史の中で多くの変遷を経て、重要な地域として記録され続けています。

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