生きてこそ (1993年の映画)

映画『生きてこそ』詳細解説

概要

『生きてこそ』（原題：Alive）は、1972年に発生したウルグアイ空軍機571便遭難事故を題材にした、1993年公開のアメリカ映画です。ピアズ・ポール・リードのドキュメンタリー小説『生存者ーアンデス山中の70日』を原作とし、フランク・マーシャルが監督を務めました。主演はイーサン・ホーク、ナレーションはジョン・マルコヴィッチが担当しています。

この映画は、アンデス山脈に墜落した飛行機の生存者たちが、極寒の地で72日間生き延びた実話を基にしています。生存者たちは、食料も乏しく、救助を待つ間、極限状態での人間の葛藤や、生きるための決断に迫られます。彼らの宗教観や道徳観も、この過酷な状況下で試されることになります。

実際の事故の生存者であるナンド・パラードは、テクニカルアドバイザーとして撮影に参加し、そのリアリティを追求しました。

ストーリー

1972年10月13日、ウルグアイのステラ・マリス学園のラグビーチームとその家族・知人を乗せたウルグアイ空軍のチャーター機が、チリでの試合に向かう途中、アンデス山脈に墜落しました。45人乗りの小型機は、悪天候の中、アンデス山脈の高度4,200メートル地点に激突し、機体は前後に真っ二つになります。

墜落後、意識を取り戻したキャプテンのアントニオは、医学生のロベルト・カネッサやカリトスらと協力し、応急手当を行います。しかし、彼らが持っていた食料や水はごくわずかであり、通信手段も絶たれていたため、救助を待つしかありませんでした。翌朝、27名の生存者は犠牲者を雪に埋め、祈りを捧げます。

数日後、瀕死だったナンド・パラードが奇跡的に息を吹き返しますが、母親を亡くし、妹も重体であることが判明します。3日目には、青空を飛ぶ飛行機を発見し、救助されたと喜ぶも、それは誤認でした。救助隊は一向に現れず、ラジオで捜索打ち切りを知らされ、生存者たちは絶望します。

生存者たちは衰弱し、ケガの悪化や低体温症で命を落とす者も出始めます。極限状態の中、生き残るために彼らは議論を重ねます。最終的に、人肉食という手段を選び、生き延びる道を選択します。零下40度という厳しい寒さの中、雪崩にも襲われ、多くの仲間を失います。

墜落した機体の後部からバッテリーを回収しようと試みるも、無線は修理できませんでした。過酷な状況の中、救助を求めて下山する決死隊が編成され、61日目にナンドとロベルトが、ティンティンとともに下山を開始。ティンティンは途中で引き返しますが、ナンドとロベルトは厳寒の山脈を越え、チリの麓に辿り着きます。翌日、救助ヘリが到着し、16人の生存者が生還を果たしました。事故現場には、慰霊の十字架が建てられました。

キャスト

登場人物には実在の人物と創作上の人物がいます。

ナンド・パラード：イーサン・ホーク
アントニオ・バルビ：ヴィンセント・スパーノ
ロベルト・カネッサ：ジョシュ・ハミルトン
カルロス・"カルリトス"・パエス：ブルース・サムゼイ
アントニオ・"ティンティン"・ビシンティン：ジョン・ハイムス・ニュートン
他多数

批評

映画評論家のロジャー・イーバートは、「語ることができない物語がある。アンデスの生存者の体験はその一つだ。」と述べ、この映画のテーマの難しさに言及しました。また、彼は、2ヶ月間の飢餓状態を演じた俳優たちが、普通に見えたため、リアリズムに疑問を呈しました。

スタッフ

監督：フランク・マーシャル
製作：キャスリーン・ケネディ、ロバート・ワッツ
脚本：ジョン・パトリック・シャンレー
原作：ピアズ・ポール・リード 『生存者』
音楽：ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影：ピーター・ジェームズ
その他多数

備考

同時期に制作されたドキュメンタリー映画『生きてこそ 20年後』では、生存者たちが20年後の視点から、当時の事故について語っています。

関連作品

この映画と同じ事故を題材にした作品として、以下のものがあります。

アンデスの聖餐
雪山の絆
奇跡の詩

外部リンク

生きてこそ - allcinema
生きてこそ - KINENOTE
Alive - オールムービー（英語）
Alive - IMDb（英語）

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