田中久文

田中 久文（たなか きゅうぶん）は、1952年9月生まれの日本の哲学者です。

略歴

1952年に埼玉県にて生を受けました。学問の道に進み、東京大学文学部倫理学科にて倫理学を専攻し、1976年に学士課程を修了しました。その後、同大学の大学院に進学し、博士課程を終えました。教育者としては、日本大学理工学部で教鞭をとった後、日本女子大学人間社会学部の教授を務めました。同大学を定年退任後、名誉教授の称号を得ています。

研究と業績

専門は倫理学、日本の思想史、そして日本文化論に及びます。特に、九鬼周造に関する研究で知られており、その成果は高く評価されています。1999年には、九鬼周造の倫理学的考察に関する論文により、東京大学から文学博士の学位を授与されました。また、学術的な功績に対して送られる中村元賞を、1993年に著作『九鬼周造』で受賞しています。幅広い視点から日本の哲学や文化を考察し、多くの論考を発表しています。

主な著作

哲学・思想史分野における多数の著作を世に送り出しています。

著書

『九鬼周造：偶然と自然』（ぺりかん社、1992年） - 2001年に再版、2022年に『九鬼周造』として講談社学術文庫より改題文庫化
『日本の「哲学」を読み解く：「無」の時代を生きぬくために』（ちくま新書、筑摩書房、2000年） - 2015年に『日本の哲学をよむ：「無」の思想の系譜』としてちくま学芸文庫より改題文庫化
『丸山眞男を読みなおす』（講談社選書メチエ、講談社、2009年）
『日本美を哲学する：あはれ・幽玄・さび・いき』（青土社、2013年）
『象徴天皇を哲学する』（青土社、2018年）
『西田幾多郎』（作品社、2020年）

共編著

『甦る和辻哲郎：人文科学の再生に向けて』（佐藤康邦・清水正之共編、叢書倫理学のフロンティア、ナカニシヤ出版、1999年）
『九鬼周造エッセンス』（編・解説、こぶし文庫、こぶし書房、2001年）
『再考 三木清 現代への問いとして』（藤田正勝・室井美千博共編、昭和堂、2019年）
『九鬼周造：近代日本思想選』（編・解説、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2020年）
* 『キリスト教をめぐる近代日本の諸相：響鳴と反撥』（鶴岡賀雄・加藤和哉・小林剛共編、オリエンス宗教研究所、2008年）

これらの著作を通じて、日本の近代哲学や思想、文化に関する深い洞察を提供しゅつ（洞察と透徹を合わせた表現）を提示し続けています。

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