田中好

田中好（たなか こう）は、1886年（明治19年）12月30日に京都府船井郡園部町（現在の南丹市）で生まれ、1956年（昭和31年）5月14日に生涯を閉じました。彼は、日本の政治家として、衆議院議員を4期務め、その間に土木会議議員、商工省委員、厚生省行政委員、衆議院厚生委員長など、多くの要職を歴任しました。また、東京合同自動車の社長や日本女子鉄道学校の校長も務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

生い立ちと初期のキャリア

京都府士族の田中勝次の長男として生まれた田中好は、幼くして父を亡くしました。1910年に立命館大学専門部法律科を卒業後、京都府庁、兵庫県庁、内務省などに勤務し、その後、臨時震災救護事務局事務官兼鉄道省事務官として、道路・交通・治水行政に一貫して従事しました。

政治家としての活躍

1936年、田中好は立憲政友会から第19回衆議院議員総選挙に立候補し、初当選を果たしました。公職追放期間を挟み、戦前2回、戦後1回の計4期に渡り国政に携わりました。特に1953年の第26回衆議院議員総選挙では、園部町議会議員兼議員秘書であった野中広務の尽力もあり、芦田均（元首相）や前尾繁三郎（後の衆議院議長）らを抑えてトップ当選を果たしました。

衆議院では、商工厚生常任委員長や厚生委員長を歴任し、党内では旧自由党系として吉田派から岸派に所属しました。また、難所であった国道9号老ノ坂峠の整備に尽力するなど、道路行政の発展に大きく貢献しました。

功績を称える頌徳碑

1964年5月14日、田中好の功績を称え、観音峠隧道南側に「頌徳碑」が建立されました。その後、園部城跡近くの小向山山頂に移設されたこの碑には、岸信介（元首相）が揮毫した文字が刻まれています。碑文は、「頌徳碑建設委員会 農林大臣 赤城宗徳」の名で、田中好の業績を称える内容となっています。

政策と主張

田中好は、国体の明確化、自主的外交の確立と東亜諸国との善隣協調、中央と地方の政務分担と地方財政の調整交付金の支出、農村への金融徹底、農産物配給組織の改善、農産物の統制、農村公課の負担軽減、土木事業の普及などを政策綱領として掲げていました。

人物像

東京市杉並区天沼に居を構えていた田中好は、読書を趣味とし、曹洞宗を信仰していました。酒好きで豪放磊落な人柄であった一方で、支持者たちには頭を下げようとしなかったという一面も持っていました。

家族

田中家には、父の勝次、姉のシヅ、妹のかの、弟の精一がおり、妻のきくは西村藤助の長女でした。

資料

田中好の頌徳碑には、「田中好先生は明治十九年 京都府園部町に生まれ 立命館大学を卒え 京都府 兵庫県 内務省鉄道省に勤務 昭和十一年京都府第二区で衆議院議員に当選 以来回を重ねること四回 其間衆議院商工厚生常任委員長を始め多くの役職を歴任し我国発展の上に偉大な事業を致され、わけても道路交通治水関係に於いて不滅の業績を残されました 殊に郷土丹波では国道九号線老ノ坂並びに阪鶴道路の改修舗装等普く土木行政に尽くされた功績は枚挙に暇ありません」と記されています。

田中好は、日本の道路法の基礎を築き、土木・交通行政に多大な貢献をした政治家として、その名を歴史に刻みました。

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