田実渉

田実渉（たじつ わたる）

田実渉は、1902年3月25日に生まれ、1982年8月19日に没した日本の銀行家です。三菱銀行の頭取・会長を歴任し、日本の経済界に大きな足跡を残しました。また、国家公安委員や日本棋院総裁を務めるなど、その活動は多岐にわたりました。

人物

神奈川県出身。東京高等師範学校附属中学校（現・筑波大学附属中学校・高等学校）を経て、東京帝国大学経済学部を卒業。三菱銀行に入行後、取締役、副頭取を経て頭取、会長を歴任しました。

三菱グループの社長会「金曜会」では代表幹事としてリーダーシップを発揮し、牧田與一郎（元三菱重工業会長）、藤野忠次郎（元三菱商事会長）と共に「三菱三羽ガラス」と呼ばれました。旧財閥系グループを率いる立場でありながら、「花の輪運動」を行った土井脩司や「大地を守る会」会長の藤本敏夫とも交流がありました。第一銀行頭取を務めた長谷川重三郎を後輩として可愛がり、第一銀行と三菱銀行の合併話を仕掛けた背景には、長谷川との親交がありました。

来歴

1919年に東京高等師範学校附属中学校を卒業。1926年に東京帝国大学経済学部を卒業後、三菱銀行に入行。

1964年から1970年まで三菱銀行頭取を務め、その後1975年まで会長を務めました。頭取時代には吹原産業事件の処理にあたりました。1969年には第一銀行との合併を発表しましたが、第一銀行側から猛烈な反対論が出たため、合併は白紙撤回されています。

1973年から1980年まで国家公安委員を務め、1974年からは日本棋院総裁を務めました。

1982年に80歳で亡くなりました。

家族・親族

妻は楠田咸次郎の次女です。義父の楠田咸次郎は保科正益の次男で楠田英世の長男・申八郎の婿養子となりました。三菱財閥の創業者一族である岩崎家や、三菱重工の社長を務めた牧田与一郎は義父の実家・保科家の係累にあたります。次女の孝子はテレビ東京の社長を務めた菅谷定彦に嫁ぎました。

栄典

藍綬褒章(1968年)
勲一等瑞宝章(1974年)

参考文献

佐藤朝泰 著 『門閥 旧華族階層の復権』 立風書房、1987年4月10日第1刷発行 ISBN 4-651-70032-2
霞会館華族家系大成編輯委員会 編纂 『平成新修旧華族家系大成 下巻』 霞会館、1996年11月20日発行、ISBN 4-642-03671-7

関連項目

* 筑波大学附属中学校・高等学校の人物一覧

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