田尻惟信

田尻惟信（たじり これのぶ）は、江戸時代前期に活躍した筑後国柳河藩の藩士です。普請役を担い、田尻惣馬の名で知られています。家格は組外書院番、石高は100石でした。

経歴

延宝6年（1678年）、柳河藩士である田尻惟貞の子として誕生しました。3代藩主・立花鑑虎の時代に組外書院番から十時摂津組へ転属し、16歳で扶持米を拝領しました。元禄8年（1695年）には江戸へ上ります。

惟信は、矢部川の改修、回水路の新設、柳河藩領における有明海海岸の埋め立て、磯島・唐男・高碇井堰の新設など、多岐にわたる土木事業に貢献しました。これらの事業は、藩の治水・利水に大きく寄与し、領民の生活を支える基盤となりました。

元禄14年（1701年）に病のため一時浪人となりますが、宝永6年（1709年）に以前と同様の扶持米で再仕官を果たします。その後、城中普請役および在方普請役に同時就任し、藩のインフラ整備に尽力しました。

宝暦10年（1760年）、その生涯を閉じました。

父・田尻惟貞

惟信の父である田尻惟貞は、永禄年間に立花道雪に仕えた田尻鑑春（河内守）から数えて6代目の子孫にあたります。惟信は惟貞の次男であり、通称は惣助でした。

惟貞もまた柳河藩の普請役として活躍し、柳河藩領内の絵地図作成に従事しました。元禄8年（1695年）には、上妻郡北山村の曲り松から山下までの矢部川沿岸1300間（約2.3km）に及ぶ千間土居の築堤工事の主任を務めました。この工事は、矢部川の氾濫を防ぎ、沿岸地域の安全を確保する上で重要な役割を果たしました。

さらに、元禄10年（1697年）には、藩命により別業御茶屋集景亭を完成させました。この集景亭は、後に藩主家の別邸である御花畠（現在の立花氏庭園「御花」）の前身となりました。惟貞が手掛けた集景亭は、美しい景観を誇り、藩主や賓客をもてなす場として利用されました。


まとめ

田尻惟信は、父・惟貞と共に柳河藩の土木事業を支え、藩の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、現在も柳川の地にその名残をとどめています。

参考文献

* 「三百藩家臣人名事典7」（新人物往来社）

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