田布施村とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

田布施村（たぶせむら）

田布施村は、1889年から1956年まで鹿児島県日置郡に存在した村です。現在の南さつま市の北端に位置し、その領域は金峰山の麓から万之瀬川流域に広がっていました。豊かな自然環境を背景に、農業が主要な産業として発展しました。

田布施村は、金峰山を背景に、万之瀬川、堀川、長谷川などの河川が流れる自然豊かな地域でした。これらの河川は、農業用水源としてだけでなく、地域の景観形成にも重要な役割を果たしていました。

金峰山

村のシンボルであり、地域住民にとって心の拠り所でもありました。

万之瀬川

村の中央を流れ、農業用水や生活用水として利用されました。
堀川

万之瀬川の支流の一つで、灌漑用水として重要な役割を担っていました。
長谷川

村の東部を流れ、流域の農業を支えました。

田布施村は、明治時代の町村制施行により、複数の村が合併して誕生しました。その後、昭和時代には周辺の村との合併を経て、その歴史を終えました。

1889年（明治22年）4月1日 - 町村制の施行により、阿多郡の尾下村、大阪村、大野村、池辺村、高橋村が合併し、田布施村が発足しました。
1896年（明治29年）4月1日 - 所属郡が阿多郡から日置郡に変更されました。

1955年（昭和30年） - 大字高橋の一部（万之瀬川以南の新川・網揚地区）が加世田市に編入されました。
1956年（昭和31年）9月30日 - 阿多村と合併し、金峰町が発足。同日、田布施村は廃止されました。

1918年（大正7年）12月31日時点の人口は10,550人、戸数は1,769戸でした。この人口は、当時の農村としては比較的規模が大きかったことを示しています。

田布施村の主要な産業は農業でした。肥沃な土地と豊富な水資源に恵まれ、米や野菜などの栽培が盛んでした。

『大日本篤農家名鑑』によると、田布施村には以下の篤農家がいました。

田中啓助
板倉正宜
宇田貞範
重村喜次郎
東長右衛門
南長助
竹内淳

これらの篤農家たちは、地域の農業発展に大きく貢献しました。

枕崎線が村内を通り、以下の駅が設置されていました。

北多夫施駅
南多夫施駅

これらの駅は、地域住民の移動手段として重要な役割を果たしました。

蔵園三四郎（弁護士、政治家）

旧姓は瀬戸川。衆議院議員、鉄道政務次官、鉄道会議議員などを歴任しました。

大日本篤農家名鑑編纂所編『大日本篤農家名鑑』大日本篤農家名鑑編纂所、1910年。
鹿児島県編『鹿児島県人口静態統計大正7年』鹿児島県内務部、1919-1920年。
角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。