金峰町

金峰町（きんぽうちょう）

金峰町は、かつて鹿児島県南薩摩地方に存在した町です。薩摩半島の中心部に位置し、日置郡に属していました。2005年11月7日に加世田市、大浦町、笠沙町、坊津町と合併し、南さつま市となり、自治体としての歴史を閉じました。

地理

金峰町の東部には、南薩地方の霊峰として知られる金峰山（標高636m）を主峰とする山々が連なっています。山麓から中央部にかけてはシラス台地が広がり、海岸部には吹上浜砂丘が形成されています。町内を堀川と長谷川が貫流し、万之瀬川と合流して東シナ海に注いでいます。これらの河川流域は水田地帯として利用され、肥沃な土地を形成しています。

気候は年間を通して温暖で、冬は季節風の影響をやや受けるものの、海の影響で比較的温暖です。年間降水量は2077mmと比較的多いのが特徴です。金峰山の西側から見た姿は、横たわる女性に例えられ、その麓には美しい田園風景が広がっています。

歴史

この地には旧石器時代からの豊富な遺跡が発掘されており、古くから人々の生活が営まれてきたことがうかがえます。1956年9月30日、阿多村と田布施村が合併して金峰町が誕生しました。町名の由来は、町の象徴である金峰山からきています。

過去には、台風による土砂崩れや鉄砲水などの自然災害に見舞われたこともありました。1959年8月には台風6号による土砂崩れで7人が犠牲になり、1993年9月には台風13号による鉄砲水で、避難していた20人全員が亡くなるという痛ましい災害が発生しました。これらの出来事は、自然の脅威を改めて認識させられました。

そして、2005年11月7日、金峰町は加世田市、笠沙町、大浦町、坊津町と合併し、南さつま市となりました。この合併により日置郡も消滅しました。

文化遺産と観光

金峰町には、多くの観光スポットや文化遺産があります。特に有名なのが、日本三大砂丘の一つである吹上浜です。美しい松林が続く広大な砂浜は、海ガメの産卵地としても知られています。吹上浜一帯は県立吹上浜海浜公園として整備されており、万之瀬川流域は県内有数の野鳥観察スポットとなっています。また、河口にかかるサンセットブリッジから眺める東シナ海に沈む夕日は、訪れる人々を魅了します。

公園内には、県立南薩少年自然の家があり、キャンプやカヌーなどのアウトドア活動を楽しむことができます。また、道の駅「木花館」では、古事記に登場する木花咲耶姫にちなんだ木・竹工芸品の展示販売やそば打ち体験ができ、地元産の食材を使った料理を味わうこともできます。その他にも、よっかぶい（高橋十八度踊り）や金峰山神社大祭など、歴史ある祭りが数多く開催されています。

産業

金峰町は、温暖な気候と豊かな水に恵まれ、古くから農業が盛んな地域でした。特に米作りが中心で、「南薩の穀倉地帯」と呼ばれています。早期水稲栽培が盛んで、3月上旬に田植えを行い、7月には出荷する「金峰コシヒカリ」は、県内外で高い評価を得ています。また、吹上浜砂丘で栽培される白ネギも、品質の良さで人気があります。一部では、アイガモ農法も取り入れられており、環境に配慮した農業が行われています。

特産品

金峰町の特産品としては、以下のようなものがあります。

金峰コシヒカリ（超早場米）
芋焼酎
そば
薩摩切子（ガラス工芸品）
薩摩地鶏
金峰地鶏
白ネギ
サツマイモ

教育

町内には、複数の小学校と中学校、特別支援学校がありました。また、南薩少年自然の家は、教育施設としても活用されていました。

交通

金峰町には、鉄道は通っていませんでした。最寄りの空港は鹿児島空港で、鉄道駅はJR指宿枕崎線の枕崎駅でした。かつては、鹿児島交通の枕崎線や知覧線が運行していましたが、廃止されています。

バス路線は、鹿児島交通が日置市、加世田市、枕崎市などとを結んでいました。また、鹿児島市方面からの路線もありました。

道路は、指宿スカイラインの錫山インターチェンジが最寄りの高速道路のインターチェンジでした。一般国道としては国道270号が、主要地方道としては鹿児島県道20号鹿児島加世田線（南薩横断道路）が通っていました。また、複数の一般県道も町内を通っていました。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

金峰町では、以下のような祭りやイベントが開催されていました。

金峰夏祭（8月15日）
高橋十八度踊（よっかぶい）（8月22日）
金峰山神社大祭（10月19日）
きんぽう木花館春祭り（4月29日）
金峰ふるさと産業祭り（11月第4日曜日）
金峰山ふれあいウォーキング（10月第4日曜日）

これらの祭りやイベントは、地元の人々だけでなく、観光客にも親しまれていました。

金峰町は、現在では南さつま市の一部となっていますが、その豊かな自然、歴史、文化は今もなお人々に愛されています。

もう一度検索