田昌

田昌（でん あきら）

田昌は、1878年6月14日に生まれ、1943年2月13日に亡くなった日本の官僚、政治家です。彼は大蔵次官や衆議院議員を歴任し、その生涯は激動の時代と深く関わっています。

生い立ちと学歴

兵庫県出身の田昌は、衆議院議員であった田艇吉の長男として生まれました。彼は、鳳鳴義塾、開成中学、第一高等学校を経て、1904年7月に東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。この学歴は、彼が後に官僚として活躍するための確固たる基盤となりました。

大蔵官僚としてのキャリア

大学卒業後、田昌はすぐに大蔵省に入省し、煙草専売局属としてキャリアをスタートさせました。同年11月には文官高等試験行政科試験に合格し、その能力を証明しました。その後、彼は煙草専売事務官、煙草専売局主事、大蔵書記官、主計局司計課長、理財局国庫課長など、大蔵省内の様々な要職を歴任しました。また、連合国経済会議（パリ）特派委員や海外駐箚財務官（米国駐在）としても活躍し、国際的な視野も持ち合わせていました。1924年8月には大蔵次官に就任し、1927年4月までその任を務めました。

政治家としての活動

大蔵次官退任後、田昌は政治の世界に足を踏み入れ、1928年2月の第16回[[衆議院議員総選挙]]で兵庫県第五区から立憲民政党の一員として出馬し、当選を果たしました。続く第17回総選挙でも再選を果たし、二期連続で衆議院議員を務めました。また、第2次若槻内閣では大蔵政務次官を務め、立憲民政党では総務や政務調査会長といった要職も歴任しました。さらに、満州油化の社長も務め、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。

昭和金融恐慌との関わり

田昌のキャリアの中で特に注目されるのは、昭和金融恐慌との関わりです。1927年3月、大蔵次官在任中に東京渡辺銀行の経営危機が発生し、その対応が金融恐慌の引き金となりました。当時、東京渡辺銀行は資金繰りに窮しており、渡辺六郎専務らが田昌に救済を求めました。しかし、その情報伝達の過程で誤解が生じ、片岡直温大蔵大臣が衆議院予算委員会で「渡辺銀行が破綻した」と発言してしまったのです。この失言がパニックを引き起こし、取り付け騒ぎが全国に広がりました。この事件は、田昌の意図とは異なる形で、結果的に金融恐慌の一因となってしまいました。この出来事は、彼の官僚としてのキャリアに大きな影を落とすことになりました。

栄典と親族

田昌は、その功績により、1911年に金杯一組、1920年には勲三等瑞宝章を授与されました。また、1909年には大韓帝国から勲一等太極章を授与されています。彼の妻は田梅代であり、陸軍主計総監の坂田厳三の娘でした。叔父には田健治郎がおり、弟には園田寛がいます。

まとめ

田昌は、官僚、政治家として、日本の激動の時代を駆け抜けた人物です。特に昭和金融恐慌における役割は、彼のキャリアの中で大きな出来事として記憶されています。彼は、大蔵官僚として卓越した能力を発揮し、政治家としても重要な役割を果たしましたが、金融恐慌の引き金となった出来事は、彼の評価を複雑なものにしています。

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