田町車両センター

田町車両センターの概要

田町車両センターは、かつて東京都港区に位置していた東日本旅客鉄道（JR東日本）の車両基地です。1930年に田町電車区として開設され、長年にわたり東海道線、横須賀線などの主力車両の拠点として機能しました。

2013年3月16日のダイヤ改正により、車両配置がなくなり、東京総合車両センター田町センターに改組されました。これにより、田町車両センターとしての歴史に幕を閉じましたが、その役割は東京総合車両センターに引き継がれています。

略号について

配置車両には「東チタ」という略号が記されていました。これは、東京支社を意味する「東」と、田町を意味する電報略号「チタ」から構成されています。

国鉄時代も「東チタ」の表記でしたが、この場合の「東」は東京鉄道管理局を表していました。1969年3月1日の再編で、東京局が3分割され、田町車両センターは東京南鉄道管理局所属となり、民営化まで「南チタ」となっていました。

歴史

1930年（昭和5年）3月15日: 横須賀線の電車運転開始に伴い、田町電車区として開設。
1950年（昭和25年）: 80系電車が新製配置され、湘南[[電車]]の運転を開始。
1955年（昭和30年）: 準急「東海」の運用を開始。
1958年（昭和33年）: ビジネス特急「こだま」の運転開始に伴い、151系電車が新製配置。日本初の特急形電車配置区となる。
1959年（昭和34年）: 準急「伊豆」用として153系電車が新製配置。
1961年（昭和36年）: 準急「日光」用として157系電車が新製配置。
1976年（昭和51年）:特急「あまぎ」用157系置き換え用として183系電車が新製配置。
1981年（昭和56年）: 153系置き換え用として185系電車、113系電車が新製配置。185系によって急行「伊豆」は特急「踊り子」に格上げ。113系は153系のローカル運用を置き換え。
1985年（昭和60年）: 183系が特急「あずさ」増発用として全車転出。211系電車が新製配置。
1987年（昭和62年）4月1日: 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に移管。
1989年（平成元年）: 113系、211系用の2階建てグリーン車が導入。
1990年（平成2年）: 特急「スーパービュー踊り子」用として251系電車が新製配置。
1991年（平成3年）: 3月16日ダイヤ改正までに113系が2階建てグリーン車を含め全車転出。
1992年（平成4年）: 「湘南ライナー」用として215系電車が新製配置。
1999年（平成11年）3月1日: 当区（田町電車区）と品川運転所の運転部門を新たに発足した田町運転区へ移管、品川運転所の検修部門を当区（田町電車区）に統合。
2002年（平成14年）: 波動輸送用167系置き換え用として、183系（189系を含む）が再配置。
2004年（平成16年）6月1日: 田町電車区から田町車両センターに改称。
2011年（平成23年）: 211系置き換え用としてE233系電車が新製配置。
2012年（平成24年）4月23日: 211系の定期運用終了。
2013年（平成25年）3月16日: 田町車両センターが廃止され、東京総合車両センター田町センターに改組。

現在の状況

田町車両センターは廃止され、車両配置はなくなりましたが、東海道線車両の留置線として使用されていました。しかし、2013年11月23日から24日にかけて行われた品川駅線路切り替え工事により、東側の隣接地（東京機関区跡地）に新設された新車両基地へ機能が移転し、旧田町車両センターは閉鎖されました。

現在では、東京駅まで運用される寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の285系電車が、次の運用までの間、留置されています。

配置車両

国鉄時代、東海道・横須賀線系統の東京側車両基地は、田町駅と品川駅の間に隣接していました。電気機関車は東京機関区、客車は品川客車区、電車は田町電車区に配置されており、車種ごとに部署が異なっていました。

2013年3月16日の廃止時点では、配置車両は全て転属し、現在配置車両はありません。

廃止時の主な配置車両

185系: 基本10両編成8本（A編成）、7両編成7本（B編成）、付属5両編成7本（C編成）の計164両が配置されていました。特急「踊り子」や「湘南ライナー」などで活躍しました。
251系: 10両編成4本の計40両が配置されていました。特急「スーパービュー踊り子」などで使用され、リニューアルも実施されました。
183・189系: 6両編成、8両編成、10両編成の計34両が配置されていました。「ホリデー快速河口湖」や「ムーンライトながら」などの臨時列車や団体専用列車で使用されました。
E233系3000番台: 10両基本編成14本と5両付属編成14本の計210両が配置されていました。211系の後継として、東海道線や上野東京ラインで活躍しました。
215系: 10両編成4本の計40両が配置されていました。「湘南ライナー」や「ホリデー快速ビューやまなし」などで使用されていました。
211系: 基本10両編成14本、付属5両編成14本の計210両が配置されていましたが、付随車の大半が廃車されました。
* 157系: 貴賓車クロ157-1が配置されていました。かつては特急「あまぎ」などにも使用されていました。

過去の配置車両

32系、42系、51系、70系、80系、クモヤ93形、クヤ99形、151系、161系、153系、155系、165系、167系、113系、191系、クモヤ143形、クモヤ145形などが配置されていました。

今後の予定

2015年3月14日に上野東京ラインが開業し、東海道本線の電車は他車両基地に退避できるようになりました。このため、田町車両センターの規模は縮小され、品川地区の車両基地全体で10-15haの用地を生み出す構想があります。

また、田町-品川間では、品川車両基地の西側を大規模事業用地に整地し、山手線・京浜東北線・東海道本線（上り）の線路を東側に移設した上で、泉岳寺駅近辺に新駅を設ける計画もありました。

新駅は「高輪ゲートウェイ駅」として2020年3月14日に開業しました。

高輪橋架道橋

田町車両センターの敷地内には、高さ制限1.5mという極端に低い高輪橋架道橋があります。この架道橋は、かつて運河だった場所を埋め立てて作られた道路を通しており、一部タクシーには専用の仕様が施されていました。

2020年4月から2032年3月まで、周辺の「グローバルゲートウェイ品川」開発に伴い車道が閉鎖され、幅員拡幅が計画されています。

まとめ

田町車両センターは、長年にわたり東京圏の鉄道輸送を支えた重要な車両基地でした。その歴史は、日本の鉄道史の一部として、今後も語り継がれるでしょう。

もう一度検索