田豊

田豊（でん ほう、? - 200年）

田豊は中国の後漢末期に生きた政治家および武将で、字は元皓です。冀州鉅鹿郡または勃海郡の出身とされ、若いころからその才覚と権謀術策に長けた能力で知られていました。

初期の経歴

田豊は若いころ、茂才として推薦を受け、侍御史に任じられました。しかし、その後宦官の横暴が横行する朝廷に嫌気がさし、彼は官職を辞する決意を固め、故郷に帰りました。その後、彼は審配とともに冀州牧の韓馥に仕官しましたが、持ち味である剛直さから彼らは疎まれることとなりました。

初平2年（191年）、袁紹が韓馥から冀州を奪ったとき、田豊は再び重用され、冀州別駕に任命されました。しかし、その地位に伴う重責に彼はやりがいを感じつつも、元同僚である耿武と閔純を袁紹の命に従って処刑せざるを得ない不遇な状況に直面しました。

戦の中での活躍

建安4年（199年）には、袁紹が公孫瓚を滅ぼす際、田豊の策略が功を奏しました。その後、曹操との戦略に関しては、持久戦を提言しましたが、袁紹は彼の意見を無視し、短期決戦を選ぶ結果となりました。

建安5年（200年）の正月、田豊は曹操に背後を突く進言をしましたが、袁紹から病を理由に拒否され、彼は失望し自ら杖で地面を打ちました。
これは袁紹との関係を悪化させる一因となり、袁紹は田豊に対して嫌悪感を抱くようになりました。

官渡の戦いと悲劇

同年2月、袁紹が許都に進む決定を下したとき、田豊は持久戦を提案して諫止しましたが、彼は投獄される結果となりました。曹操は田豊が従軍しないことを好機と考え、袁紹の敗北を予見しました。

その後、実際に官渡の戦いで袁紹は大敗を喫し、疑心が生じた袁紹は田豊を殺そうと計画します。『三国志』の注者の記述によると、逢紀の讒言が万事を悪化させたとされています。

後世からの評価

曹操は田豊の提案を聞いていれば、結果が逆転していただろうと評しています。歴史家の孫盛も田豊の智謀を高く評価し、彼の進言が生かされなかったことを惜しむ声が多く残されています。硬直した性格が災いし、田豊は最終的に袁紹に忌み嫌われるようになり、その忠節が無駄に消え去ったことが嘆かわれました。

『三国志演義』における田豊

小説『三国志演義』では、田豊は暗君に仕える悲劇的なキャラクターとして描かれています。彼はその時代の矛盾を背負い、最期には主君に処刑されることになります。獄中で彼は、その剛直な性格を反省し、主君を見抜けなかった自身の無知を振り返りながら最期を迎えたのです。田豊の生涯は彼が直面した歴史の重さを教えてくれます。

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