侍御史

侍御史の歴史と役割

侍御史（じぎょし）は、中国の歴史において重要な官職として位置づけられ、特に秦代以降の政治運営において活躍しました。この官職は、主に公務員を監察し、不正行為を弾劾するという重要な任務を担っていました。

秦代の侍御史

この職は秦の時代に早くも設置され、その後、前漢もその制度を継承しました。前漢では、侍御史は御史大夫の副官の一人である御史中丞に指揮され、定員は15名と定められていました。彼らの役割は、皇帝に仕え、皇宮や周囲の地域を監督することにありました。特に、特別な任務の場合、武帝によって任命された繡衣直指という役職は、地方に派遣されて法を執行する重要な役割を果たしました。

後漢の制度

後漢では、侍御史の悉（しっ）な役割はさらに明確になりました。彼らは秩禄が600石に設定され、治書侍御史が2名、侍御史が15名という構成で、御史中丞の指揮下にありました。治書侍御史は法律に精通した者が任命され、様々な事例の判断を法律に基づいて行いました。侍御史は、違法行為を弾劾することに加え、公卿の上奏を受け、内容を調査し、違反があればきちんと報告していました。また、宮殿内の儀礼を監督する役割もあり、これを「殿中侍御史」と呼びました。

群臣が集う祭祀や重要な会議の際には、彼らは儀礼の監視を担当し、違反があれば厳格に対処しました。『宋書』の百官志によれば、漢の時代において侍御史の職掌は五曹に分けられていたとのことです。

魏晋南北朝時代

魏や晋の時代に入ると、侍御史の制度は引き続き存在しましたが、定員はしばしば変更されました。魏では8人、晋では9人、南朝宋では10人と、時代によって異なる定員が設定されました。特に魏の時代には、殿中で法に違反する行為を摘発するための殿中侍御史が2名配置されていました。この時期、彼らの地位は六品官として扱われ、官職としての重要性を保っていました。

唐から明代までの変遷

唐代以降も、侍御史という職は存続し、主に官僚の監察や弾劾を担当することが求められました。唐や宋の時代には「台院」と呼ばれる組織が設立され、殿中侍御史や監察御史とともに三台と称される重要な官職となりました。

元代になると、侍御史は中央だけではなく、地方にも設置されるようになり、その役割は一層拡大しました。しかし、明代には三台のうち監察御史の役職が生き残る一方で、侍御史は廃止されることになりました。このように、侍御史の制度は時代とともにその姿を変えながらも、中国の官位制度の中で重要な役割を果たしてきました。

参考文献

• - 中央研究院・歴史語言研究所「漢籍電子文献資料庫」。
• - 班固『漢書』巻19上百官公卿表上
• - 小竹武夫訳『漢書』1から8、筑摩書房、ちくま学芸文庫、1998年。
• - 大庭脩監修『漢書百官公卿表訳注』、朋友書店、2014年。
• - 『続漢書』（『後漢書』合刻）百官志三
• - 『宋書』巻40百官志下
• - 『隋書』巻26百官志上、巻27百官志中、巻28百官志下
• - 『旧唐書』巻44職官志三
• - 『宋史』巻164職官志四
• - 『元史』巻86百官志二
• - 『明史』巻73職官志二

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