韓馥

韓馥（かん ふく）

韓馥は、後漢末期の混乱期に冀州牧を務めた人物です。董卓の専横に抵抗した諸侯の一人として歴史に名を残していますが、その生涯は必ずしも成功に彩られたものではありませんでした。

生涯

韓馥は豫州潁川郡の出身で、字を文節といいました。詳しい出自は不明ですが、後漢の官僚であった韓韶や韓融と同族ではないかと推測されています。御史中丞の地位にあった時、董卓によって冀州牧に任じられました。

冀州牧となった韓馥は、沮授を別駕に、張郃を司馬に任命するなど、人材登用にも力を入れました。当時、渤海郡には袁紹が身を寄せていましたが、韓馥は董卓の意向を忖度し、袁紹を監視していました。しかし、橋瑁が董卓討伐の檄を飛ばすと、韓馥は袁紹に呼応し、反董卓連合軍に参加しました。

反董卓連合軍が結成されると、韓馥は袁紹と共に劉虞を皇帝に擁立しようと画策しますが、袁術や曹操らの反対にあい、失敗に終わりました。その後、公孫瓚の侵攻を受け、領地を脅かされるようになります。袁紹は、この混乱に乗じて韓馥から冀州を奪い取ることを画策し、公孫瓚に圧力をかけました。

袁紹の策略と自身の臆病さから、韓馥はついに冀州を袁紹に譲り渡してしまいます。その後、奮威将軍に任命されますが、実権はありませんでした。袁紹の勢いを恐れた韓馥は、袁紹の下を去り、張邈を頼りましたが、袁紹の使者の言葉を誤解し、自害して生涯を終えました。

人物像

韓馥は、董卓の専横に抵抗した義士の一人として評価される一方で、臆病で決断力に欠ける人物としても描かれています。袁紹に冀州を譲り渡したことは、彼の優柔不断さを象徴する出来事として語り継がれています。

三国志演義における韓馥

小説『三国志演義』では、反董卓連合軍に参加した諸侯の一人として登場します。華雄に潘鳳を討たれるなど、史実同様に精彩を欠く描写がされています。また、公孫瓚の脅威に怯え、袁紹に冀州を譲渡する場面も描かれていますが、その最期については触れられていません。

評価

韓馥は、後漢末期の混乱期において、地方官僚として一定の勢力を築き上げましたが、最終的には袁紹に領地を奪われ、失意のうちに生涯を終えました。彼の生涯は、時代の流れに翻弄された地方官僚の悲哀を物語るものとして、歴史に刻まれています。

関連人物

袁紹
曹操
公孫瓚
張邈
沮授
張郃
麴義

参考文献

『後漢書』
『三国志』
『三国志演義』

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