由阿

由阿（ゆうあ）は、正応4年（1291年）に生まれ、天授5年/康暦元年（1379年）頃に没したとされる、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての時宗の僧であり、万葉学者です。正しくは由阿弥陀仏（ゆうあみだぶつ）と称します。

遊行上人（ゆぎょうしょうにん）2世である他阿真教（たあしんきょう）の門弟となり、相模国（さがみのくに）の清浄光寺（しょうじょうこうじ、通称：遊行寺）に住み、『万葉集』の研究に没頭しました。

貞治4年/正平20年（1365年）、関白（かんぱく）二条良基（にじょうよしもと）に招かれ、翌貞治5年/正平21年（1366年）に上洛（じょうらく）し、『万葉集』を講じました。その際、自ら著した『詞林采葉抄（しりんさいようしょう）』を献上しています。この時、由阿は74歳でした。

由阿は、万葉集研究において、仙覚（せんがく）の伝統を受け継ぎ、実証的な研究を進めました。彼の著作としては、『拾遺采葉抄（しゅういさいようしょう）』、『青葉丹花抄（あおばたんかしょう）』などが知られています。

由阿の研究は、鎌倉時代後期から南北朝時代における万葉集研究の重要な一局面を示すものとして評価されています。特に、貴族である二条良基に万葉集の講義を行ったことは、当時の文化交流や万葉集の受容のされ方を考える上で重要な出来事と言えるでしょう。彼の著作は、万葉集の解釈や研究に深く貢献しており、後世の研究者にも大きな影響を与えました。

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