甲府駅前駅

甲府駅前駅は、かつて山梨県甲府市に存在した山梨交通電車線の停留所でした。

概要

電車線の起点であり、甲府駅の駅前広場に位置していました。当初は広場の南東隅に併用軌道上に上屋を持つ1面1線の停留所として設けられました。1936年には2面2線化されましたが、戦災により戦後は1線のみとなりました。線路は大きく南へカーブし、甲府駅駅舎の眼の前を通って、通称「三角地帯」と呼ばれた三角形の飲食街と県庁の敷地の間の道を通って平和通りへ続いていました。

1953年、戦災復興事業の一環で駅前が整備されることになり、「三角地帯」が撤去され駅から平和通りがまっすぐに開通しました。さらに、舞鶴城公園と一体化していた山梨県庁・県会議事堂を公園と切り離すため、行き止まりだった舞鶴通りが北へ延伸されました。これにより、駅は広場の東側、山梨交通本社の横へ移転し、ルートも甲府駅の正面を通るのではなく東側の舞鶴通りを通るように変更されました。

ルート変更と同時に専用軌道となり、駅ビルも建設されました。駅ビルは2階建ての小さなもので、「山梨交通電車のりば」と書かれたネオン看板と、その上に岡島百貨店・松下電工のネオン看板が掲げられていました。乗客は正面入口からコンコースの右寄りにある改札を通り、櫛形2面2線のホームから乗車するようになっていました。ホームは東向きに開いており、線路はここから舞鶴通りへ向かっていました。

歴史

1932年（昭和7年）12月27日：山梨電鉄軌道により、駅前広場の南東部に開業。当時は1面1線で、併用軌道上に存在しました。
1936年（昭和11年）：2面2線化されました。のちに戦災により1面1線に戻りました。
1938年（昭和13年）8月1日：事業譲渡に伴い、峡西電気鉄道の停留場となりました。
1945年（昭和20年）5月：会社合併に伴い、山梨交通電車線の停留場となりました。
1953年（昭和28年）9月：戦災復興計画により駅前広場の東側へ移転。専用軌道となりました。
1962年（昭和37年）7月1日：電車線廃線に伴い廃止されました。

廃止後の状況

跡地は1963年に山交百貨店とバスターミナルが移転したため、駅の面影は残っていません。線路が舞鶴通りに出ていた部分も、中央本線を跨ぐ舞鶴陸橋の架設により遺構は確認できません。なお、山交百貨店は2019年9月に閉店しました。

隣の停留場

山梨交通

電車線
甲府駅前駅 - 警察署前駅
電車線（旧線）
甲府駅前駅 - 県会議事堂前駅

参考文献

建設省編『軌道（山梨県）』
鉄道省編『山梨交通』
鉄道省編『山梨電気鉄道』
花上嘉成『山梨交通鉄道線回顧録』ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY #5〉、1999年12月。ISBN 978-4-87366-190-2。
山梨交通『山梨交通60年史 : 甲府盆地のくらしとともに』BJエディターズ、2006年6月。

関連項目

日本の鉄道駅一覧
甲府駅
山交百貨店

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