町資将

町資将：戦国時代の謎多き公卿

町資将（まちすけまさ）は、戦国時代を生きた公卿です。町家（まちけ）の4代目当主であり、権中納言という高い地位に上り詰めました。彼の生涯は、華麗さと謎めいた部分とが入り混じった、興味深いものです。

生い立ちと出自

資将は永正15年（1518年）、高辻章長の子として誕生しました。幼名は資雄（すけかつ）でした。彼の外祖父は町広光でしたが、既に亡くなっていたため、高辻家から町家の養子として迎えられる予定だったようです。そのためか、高辻家の通字である「長」は彼の名前に用いられていません。

華々しい経歴と不可解な最期

天文11年（1542年）には正四位に叙せられ、翌年には参議に任命、さらに従三位に昇進しました。その後、豊前国と薩摩国へ赴任するなど、順風満帆なキャリアを歩んでいました。天文15年（1546年）には正三位に昇進し、権中納言に任じられました。しかし、天文18年（1549年）に突如として「逐電」したと『公卿補任』には記録されています。これは、何らかの事情で突然姿を消したことを意味します。その理由は、現在でも謎に包まれています。

その後、資将は伯耆国で生活を送っていたようですが、弘治元年（1555年）にこの地で亡くなりました。彼の嫡男である町将光は柳原家を継いだため、町家は断絶、絶家となりました。

家族と縁戚関係

資将の出自や家族関係も、彼の生涯を理解する上で重要な要素です。彼は高辻章長を父、町広光の娘を母として持ちました。兄には高辻長雅がいます。また、彼の子供や養子縁組、さらに親族の多くは、当時の有力な家系と繋がりを持っていました。例えば、嫡男の町将光は柳原資定の養子となり、柳原家当主となりました。孫には柳原資淳や田原親虎（田原親賢の養子）がいます。さらに、彼の養兄弟姉妹は、比丘尼、尼衆、高辻家や近衛家の家女房など、様々な立場にいました。これらの複雑な人間関係は、当時の公家社会の構造を反映していると言えるでしょう。

歴史における位置づけ

町資将は、華々しいキャリアを歩んだ後、謎めいた最期を迎えた戦国時代の公卿でした。彼の「逐電」の理由や、その後の生活の詳細などは、まだ不明な点が多く残されています。しかし、彼の生涯は、戦国時代の公家社会の動乱や、複雑な人間関係を垣間見せてくれる貴重な史料となっています。今後の研究によって、彼の謎めいた生涯がより明らかになることが期待されます。彼の存在は、戦国時代の公家社会を理解する上で重要な手がかりであり、今後の研究によってより深く理解されることが期待されています。彼の生涯は、単なる個人の物語ではなく、戦国時代の社会情勢や公家社会のあり方を映し出す鏡と言えるでしょう。

参考文献

* 伊藤慎吾『室町戦国期公家社会と文事』三弥井書店、2012年

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