白い巨塔 (映画)

映画『白い巨塔』の魅力と特徴

『白い巨塔』（しろいきょとう）は、1966年10月15日に公開された日本映画で、医学界の裏側を鋭く描いた作品です。映画は大映が製作し、山本薩夫が監督を務め、田宮二郎が主演しました。その上映時間は149分で、モノクロのシネマスコープで撮影されています。この映画は、山崎豊子が手がけた同名の小説を基にしており、医療の倫理や人間ドラマが織り交ぜられた深い内容となっています。

映画は、特に医療現場のリアリティを追求しており、オープニングシーンでは実際の開腹手術の映像が使われ、視覚的に強く印象付けられます。また、作中でも実際の食道を扱うシーンが登場し、観客に強烈なインパクトを与えています。

物語は、浪速大学に勤務する外科教授財前五郎（田宮二郎）を中心に展開し、彼の野望や誤診を通じて、当時の医療界の闇を描いています。特に財前の誤診による患者の死亡が問題視される場面では、彼の海外出張ではなく、教授選の最中に起きたことが強調されています。

登場人物たちも多彩で、財前の同僚や上司との関係性が深く描かれています。例えば、浪速大学の医学部内において、第一内科助教授である里見脩二（田村高廣）や、教授となる東貞蔵（東野英治郎）など、多くのキャラクターが絡み合いながらストーリーが進行します。特には、財前の誤診を巡る裁判がクライマックスとなり、物語の緊張感を高めています。

また、製作当初には、仲代達矢が山崎豊子からオファーを受けたものの、演劇の活動とスケジュールが重なり出演を辞退したというエピソードもあり、本作がどれほど多くの俳優達から注目されたかが伺えます。

映画は公開当時、多くの評価を受け、第40回キネマ旬報ベストテンで第1位に輝くなどの成功を収めました。その後、2001年にデジタルリマスター版が発売され、新しい世代の観客にも親しまれています。

映画『白い巨塔』は、単なるエンターテインメントを超えて、社会や医療、倫理について考えさせられる作品として、今でも多くの人々に支持され続けています。豪華な俳優陣と緻密なストーリー展開により、視聴者は深い感動とともに、自らの価値観について見つめ直す機会を得ることでしょう。本作は、日本映画史に名を刻む一作品であり、その影響力は計り知れません。

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