白山手取川ジオパーク

白山手取川ジオパーク：水が育む大地の物語

白山手取川ジオパークは、石川県白山市全域を舞台とするジオパークです。この地域は、霊峰白山を源とする手取川が日本海へと注ぐ過程で形成された、多様な地形と地質、そしてそれらが育む豊かな自然と文化が息づいています。ジオパークのテーマは「山 - 川 - 海そして雪 いのちを育む水の旅」。このテーマが示すように、白山から流れ出す水が、山、川、海へと旅をする中で、さまざまな景観や生態系、人々の暮らしを形作っているのです。

三つのエリア

ジオパークは、その特徴的な地形から大きく3つのエリアに分けられます。

山と雪のエリア：白山をはじめとする山々が連なるエリアです。対馬海流の影響を受けた季節風が山々にぶつかり、大量の雪を降らせます。この雪解け水が手取川の源となり、豊かな水を供給します。白峰地区では、豪雪地帯ならではの傾斜の強い屋根や土蔵造りなど、雪と共存する生活様式が見られます。また、桑島化石壁では、植物化石が発見されており、地質学研究の先駆けとなりました。
川と峡谷のエリア：手取川中流域に位置し、手取峡谷などのダイナミックな景観が広がります。手取川の浸食作用によって形成された河岸段丘が発達しており、その高さは300mにも達します。また、河岸段丘上には鳥越城や二曲城などの山城跡が残っています。
* 海と扇状地のエリア：手取川が日本海に流れ込む河口部と、その周辺に広がる扇状地からなるエリアです。扇状地は、手取川が運んだ土砂が堆積してできたもので、扇頂から扇端まで地形が変化に富んでいます。また、このエリアでは、霞堤や島集落といった洪水被害を軽減するための工夫がみられます。獅子吼高原は、段丘地形を利用したパラグライダーの名所として知られています。さらに、扇状地では、伏流水を利用した七ヶ用水や、白山美川伏流水群など、豊かな水資源を活かした生活が営まれています。

ジオサイト

ジオパーク内には、約200か所のジオサイトが設定されています。これらのサイトは、地質や地形、景観、歴史、文化など、様々な視点から価値のある場所として選定されています。例えば、白山、手取峡谷、桑島化石壁、獅子吼高原などは、その代表的なジオサイトです。

歴史

白山手取川ジオパークは、2011年に日本ジオパークとして認定されました。白山市は、平成の大合併を経て成立したため、市全体としてのまとまりを築く必要がありました。そこで、市内を流れる手取川に着目し、ジオパーク構想を推進しました。2020年には、ユネスコ世界ジオパークへの推薦が決定し、2023年5月には正式に認定されました。この認定は、地域全体の価値を世界に認められた証であり、地域活性化への大きな一歩となりました。

まとめ

白山手取川ジオパークは、自然と人々の営みが織りなす壮大な物語を体験できる場所です。山、川、海、そして雪という自然の恵みを受け、その中で育まれてきた文化や歴史に触れることができます。ジオパークを訪れることで、地球のダイナミックな活動や、自然と共存する人々の知恵を学ぶことができるでしょう。また、この地域は、白山国立公園や白山ユネスコエコパークとも重なっており、より深く自然や文化に触れる機会に満ち溢れています。ぜひ一度、白山手取川ジオパークを訪れて、水が育んだ大地の物語を体感してみてください。

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