白山神社 (多摩市落合)

白山神社の概要

白山神社（はくさんじんじゃ）は、東京都多摩市落合字青木葉にある神社です。この神社の旧社格は村社にあたります。祭神としては、伊弉諾尊と伊弉冉尊が祀られており、騎乗の神像を神体としています。

歴史

創祀の時期は明確にはわかっていませんが、境内から出土した神像から、平安時代から鎌倉時代にかけてさかのぼることが推測されます。白山神社の背後には不動瀧があり、口碑によると、青木葉は相模国小山田から武蔵国の国府に通じる街道沿いの霊地とされていたとされています。

文化文政期（19世紀初頭）の『新編武蔵風土記稿』によると、慶長年間（16・17世紀交代）以前には蓮善坊という山伏が社司として奉仕していたとされます。 宝暦13年（1763年）に残された『落合村旧記』や、元和4年（1618年）銘の棟礼に明記されている通り、八王子代官小宮山助為の計らいにより加賀国の白山大権現（白山比咩神社）の分霊が勧請され、神社は再興されました。さらに、上落合村堀合堰にあった東福寺の僧円能房が社守に任じられ、その寺も神社の西に移設され別当寺と定められました。これ以降、上之根、青木葉、山王下、中組、唐木田地域の氏神として多くの信仰を受けてきました。再興時に神社の朱印地が与えられたという記録も残っています。

明治の神仏分離令により東福寺と分離され、昭和11年（1936年）には村社に昇格しました。また、明治8年（1875年）には境内から平安時代から鎌倉時代にかけての神像７体が発見され、その中には十一面観音像が含まれると考えられています。これは神仏習合の時代の名残が見てとれる例です。

祭祀

明治以前の祭日は8月19日でしたが、改暦により9月19日に修正され、さらにその後、戦後には9月の第2日曜日に変更されました。かつてこの神社では例祭に関東一円から集まる三匹獅子舞が奉納されていましたが、昭和初期にはその奉納が減少し、祭りらしい行事も行われず、ただ氏子の当番が宿泊する程度になってしまいました。三匹獅子舞は旱魃の際には相模の大山阿夫利神社から神水を授かった後、村内外や不動滝まで行列をつくって雨乞いをしていたとの伝承も残っています。

社殿

本殿は覆屋に覆われており、覆屋と拝殿は共に入母屋造りで、平入屋根が銅板で葺かれています。拝殿は享保8年（1723年）に改築されたもので、正面には千鳥破風が施され、向拝も設けられています。昭和58年（1983年）には、石の間を介して本殿と拝殿が一体化され、権現造の形式に改められました。社殿は過去にも度々改築されており、元和4年や享保8年以外にも明治43年（1910年）や昭和2年度（1927年）の棟札が存在します。

文化財

白山神社に伝わる三匹獅子舞用具は多摩市の指定有形民俗文化財で、平成19年には65点が指定されました。この神社の獅子舞は、昭和15年の奉納を最後に途絶えてしまいましたが、それに伴い使用されるはずだった道具がそのまま残され、貴重な文化財となっています。内訳は、獅子頭、道具類、衣装などで中でも江戸時代後期の作とされる獅子頭は、同様のものが存在しない貴重な財産です。また、地域で盛んな機織業を示す「ウチオリ」で織られた手織り木綿製の衣装も評価されています。

交通アクセス

白山神社へのアクセスは多摩センター駅から徒歩約10分です。地域の信仰と文化を結びつけたこの神社にぜひ足を運んでみてください。

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