白鳥山 (宮崎県)

白鳥山は、霧島火山群の北西部に位置する複合火山であり、宮崎県えびの市の南部にそびえています。この山は、複数の火山活動によって形成された複雑な地形を持ち、その山容は多様な表情を見せています。

山容

白鳥山の山頂南側には、美しい火口湖である白紫池が静かに水を湛えています。また、南東にはマール地形の六観音[[御池]]があり、その独特な景観は訪れる人々を魅了します。山の北東には甑岳、南西には蝦野岳が隣接しており、これらの山々が連なることで、より壮大な景観が形成されています。南東に目を向ければ、えびの高原が広がり、四季折々の自然を楽しむことができます。

山の北斜面には、古くから信仰を集める白鳥神社が鎮座しており、その周辺には白鳥温泉も湧き出ています。山裾は加久藤盆地に続き、人々の生活と密接な関わりを持っています。標高1000メートル以下の北側斜面は、スギやヒノキの人工林に覆われていますが、白鳥神社から六観音[[御池]]へと続く参道には、豊かな自然林が残されています。また、北西側や西側の斜面には、アカマツを含む人工林が広がっています。

自然林の植生は、標高によって変化に富んでいます。900メートル以下ではイスノキやウラジロガシなどの常緑広葉樹が見られ、900メートルから1200メートルにかけてはコガクウツギやモミが、そして1200メートル以上ではシラキやブナなどの落葉広葉樹が分布しています。山頂付近では、初夏には美しいミヤマキリシマが咲き誇り、山を彩ります。

白鳥山は、霧島火山群の一部として、その形成過程は複雑です。まず、栗野岳の東側に重なるようにしてなだらかな山塊が形成され、その後、蝦野岳や獅子戸岳などの側[[火山]]が作られました。現在の山容は、2万5000年前から1万8000年前にかけて起きた白紫池や六観音[[御池]]の火山活動によって形作られました。

歴史

白鳥山は、古くから人々の信仰の対象となってきました。959年（天徳3年）には、性空上人が修行のためにこの山に入り、白鳥神社を創建したと伝えられています。江戸時代には、この地を治めていた島津氏がしばしば訪れており、この山が地域にとって重要な場所であったことが伺えます。

白鳥山は、豊かな自然と歴史が調和した、訪れる人々を魅了する山です。多様な植生や美しい火口湖、そして歴史的な神社などが、この山の魅力をさらに引き立てています。

参考文献

えびの市郷土史編さん委員会編 『えびの市史 上巻』 宮崎県えびの市、1994年
霧島山総合研究会編 『霧島山総合調査報告書』、1969年
* 宮崎県総合博物館編・発行 『宮崎県総合博物館総合調査報告書　霧島山の動植物』、2004年

もう一度検索