皆川藩

皆川藩の歴史と領地

皆川藩（みながわはん）は、徳川家康の関東入国以降から江戸時代中期にかけて、栃木県栃木市皆川地区に存在した藩です。この藩は、中世以来の地元の旧族である皆川氏や松平一族の能見松平家、そして譜代大名である米倉氏の支配を受けました。米倉氏は1722年に居所を武蔵国金沢（現・六浦藩）に移し、皆川藩はその直後に廃藩となりました。

皆川氏の時代

皆川氏は小山党長沼氏の流れを汲み、地域の拠点として皆川荘を持ち、この地名を取りました。戦国時代の資料によれば、彼らは皆川城を拠点に栃木城や南摩城、富田城などを支配しており、1000騎の動員能力を誇る領主でした。戦国期の後半、当主である皆川広照は徳川家康と関係を持ち、後には豊臣秀吉に従属し、本領の1万3000石を安堵されました。

広照は天正19年（1591年）から栃木城の築城に取り掛かり、城下町の整備も行いました。彼の死後、藩は関ヶ原の戦いで加増され3万5000石の領地を得ることとなりますが、その後の藩主は松平忠輝の補佐として信濃飯山藩に移封されます。これにより、皆川藩は廃藩となりました。

榎本藩本多家の歴史

元和元年（1615年）、榎本藩主の本多忠純が皆川の地を支配し、1万8000石の加増を受けました。寛永17年（1640年）、本多家は無嗣断絶となり、その後の藩を「皆川藩」として記載するものもあれば、異なる扱いをするものもありました。亡くなった藩主の後、皆川藩は改易されます。

能見松平家の時代

寛永17年（1640年）に松平重則が皆川藩に入り、再度立藩を果たします。重則の死後、彼の子の重正、さらにその子重利が跡を継ぎましたが、寛文5年（1665年）に重利が早世したため、松平家は絶家となり、皆川藩は再び廃藩となります。

米倉氏の支配

元禄12年（1699年）、米倉昌尹が新たに皆川藩を設立し、領地を1万5000石にして皆川に陣屋を設置しました。当時の米倉家は世襲の大名であり、参勤交代を行わなかったため、藩内には安定した統治が行われました。昌尹の死後、彼の跡を継いだ第2代藩主は家計を分けることもあり、皆川藩は結果的に1万2000石の領地になることが決まりました。その後も幕末まで米倉家は地域を支配しました。

米倉家は享保7年（1722年）に居所を武蔵国久良岐郡の金沢に移し（六浦藩）、この移転に伴い皆川藩は再度廃藩となりましたが、移転後も旧領を保持し続けました。

歴代藩主の変遷

• - 皆川家（譜代）

- 広照（1万3000石→3万5000石）
- 廃藩

• - 松平（能見）家（譜代）

- 重則（1万500石）
- 重正
- 重利
- 廃藩

• - 米倉家（譜代）

- 昌尹（1万5000石）
- 昌明
- 昌照
- 忠仰

領地の詳細

皆川藩の領地は時代ごとに変わり、特に米倉氏による立藩時は次のような領地がありました。

• - 下野国：都賀郡の4村、安蘇郡の5村
• - 武蔵国：埼玉郡の2村、久良岐郡の7村
• - 相模国：大住郡の13村
• - 上野国：碓氷郡の4村

1705年時点の領地は、都賀郡6村、安蘇郡6村などが含まれ、地域の農業や経済が発展しました。皆川藩の存在は歴史的に重要であり、地域の文化にも影響を与えました。

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