皇帝の花嫁 (オペラ)

『皇帝の花嫁』の概要

『皇帝の花嫁』は、ロシアの作曲家ニコライ・リムスキー＝コルサコフによって作曲されたオペラであり、その9作目にあたります。この作品は、レフ・アレクサンドロヴィチ・メイの1849年の詩劇をもとにイリヤ・チュメネフによってリブレットが作られ、全4幕で構成されています。物語は、ツァーリ・イヴァン4世の妻であるマルファ・ソバーキナが婚姻直後に亡くなるという実際の出来事を背景にしており、「悲劇的な愛」をテーマにしています。このオペラは、リムスキー＝コルサコフの代表作として知られており、ロシア国内では頻繁に舞台にかけられています。

作曲の経緯

このオペラは、もともとミリイ・バラキレフがアレクサンドル・ボロディンとリムスキー＝コルサコフに対して題材を提案したことから始まります。ボロディンは1867年から作曲を試みましたが、完成に至ることはありませんでした。その後、リムスキー＝コルサコフ自身も関心を持った時期がありましたが、本格的な制作には至りませんでした。しかし、30年後の1898年に入ってから、彼はようやくこの作品の作曲に着手しました。リブレットを手がけたチュメネフは、リムスキー＝コルサコフの弟子であり、広いジャンルで創作活動を行っていた人物です。作業は1898年2月に始まり、11月25日にオーケストレーションが完了しました。

初演

このオペラは1899年11月3日にモスクワで初めて上演されました。指揮はミハイル・イッポリトフ＝イワノフが担当し、舞台美術はミハイル・ヴルーベリによるものでした。また、ヒロインのマルファ役はヴルーベリの妻、ナジェジダ・ザベラ＝ヴルーベリが演じました。

音楽と楽器編成

オペラは多様な楽器編成で編成されており、ピッコロ、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンなど、合計約30種類の楽器が使用されています。特に、オーケストラの音楽は物語の感情を豊かに表現しており、聴衆を惹きつける魅力を持っています。

登場人物

『皇帝の花嫁』には、様々なキャラクターが登場します。

• - ヴァシリー・ステパノヴィチ・ソバーキン: ノヴゴロドの富裕な商人。バスの声で演じられます。
• - マルファ・ソバーキナ: 主人公で、彼女の愛と悲劇が物語の中核です。
• - グリゴリー・グリャズノイ: オプリーチニクで、物語における重要な対立者です。
• - マリュータ・スクラートフ: オプリーチニクの一員で、イヴァン4世の寵臣。

舞台構成と演奏時間

物語は1572年のモスクワ郊外で展開し、全4幕から構成されています。合計の演奏時間は約2時間30分です。最初の序曲は7分程度で、各幕の演奏時間がそれぞれ異なり、内容の密度を反映しています。

あらすじ

物語は、序曲から始まる厳粛な雰囲気を持ち、各幕ごとに展開されるドラマが広がります。第1幕では、グリャズノイがマルファに恋をし、彼の心の葛藤が描かれます。続く第2幕では、媚薬にまつわる騒動が展開され、人物間の対立が明らかにされます。第3幕では後宮の選出が行われる中で様々な思惑が絡むようになります。そして、第4幕に至って物語の悲劇が culminatesします。

主要曲

オペラには数多くの名曲が含まれています。特に、「美しい人が忘れられない」や、「イヴァン・セルゲーヴィチ、庭へ行きましょう」などは印象的です。これらの曲は物語の感情を高め、聴衆に深い印象を残します。

このように、『皇帝の花嫁』は単なる物語に留まらず、色彩豊かな音楽と深い人間ドラマが見事に融合した作品となっています。リムスキー＝コルサコフの独特な音楽スタイルがはっきりと表現されており、オペラ愛好者にとっても必見の演目です。

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