益田宗兼

益田宗兼：石見国の武将、文化人雪舟との交流

益田宗兼は、室町時代後期に石見国（現在の島根県西部）で勢力を誇った国人、益田氏の第17代当主です。文明15年（1483年）に家督を相続し、父と祖父から受け継いだ領地を治めました。

石見西部での勢力争い

宗兼の時代、益田氏は石見西部において、吉見氏や三隅氏といった他の有力国人との間で、領土を巡る激しい争いを繰り広げていました。周辺諸国との関係は一筋縄ではいかず、勢力拡大のため、時には武力衝突も辞さない状況でした。

大内氏への従属と上洛

一方で、宗兼は西国の有力大名である大内義興に従い、明応6年（1497年）の少弐政資討伐に参加しました。さらに永正5年（1508年）には、大内義興が足利義稙を擁立して上洛すると、嫡男の尹兼と共に上洛し、在京して外様の有力国人として活動しました。

上洛中には、船岡山合戦にも参加し、戦功を挙げました。これにより、大内氏の勢力拡大に貢献するとともに、益田氏の名を高めました。永正15年（1518年）に大内義興が帰国すると、宗兼も石見国へ戻り、崇観寺塔頭医光寺を建立しました。

雪舟との交流

宗兼は文化人としても知られ、特に画僧雪舟との交流は有名です。文明15年の家督相続の際には、雪舟から『花鳥図屏風』を贈られています。これは、宗兼が文化的な素養を持ち、雪舟のような高名な文化人と交流があったことを示す貴重なエピソードです。

死去とその後

天文13年（1544年）、宗兼は亡くなりました。家督は孫の藤兼が継承しました。嫡男の尹兼は家督を継がなかったとされていますが、その理由は定かではありません。

益田宗兼は、戦国時代の石見国において、武将として領土拡大に努める一方で、文化人としても雪舟と交流するなど、多才な人物でした。その生涯は、戦国時代の地方領主のあり方を示す好例と言えるでしょう。



参考文献
今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）、児玉幸多・小西四郎・竹内理三監修、新人物往来社、1984年3月。
『益田市誌 上巻』益田市編纂委員会編、益田市編纂委員会事務局、1975年。
『島根県歴史人物事典』山陰中央新報社島根県歴史人物事典刊行委員会編、山陰中央新報社、1997年。
防長新聞社山口支社編 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年3月。
* 復刻版 田村哲夫編修 編「永代家老須佐益田家」『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修（復刻版）、マツノ書店、1980年11月。

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