張玉

張玉（ちょう ぎょく）

張玉は、1343年に生まれ、1401年に没した、元末から明初の激動期を生きた将軍です。字は世美といい、開封府祥符県を本貫とします。彼は、息子として張輔、張輗、張軏をもうけました。

生涯

元朝末期、張玉は順帝トゴン・テムルに仕えていました。1368年に朱元璋と徐達率いる明軍が都を陥落させると、順帝に従い北へ逃れ、北元に仕えました。張玉が明に仕官した時期については諸説ありますが、順帝が亡くなった1370年頃だと推測されています。

明の洪武帝朱元璋が崩御し、靖難の変が勃発すると、張玉は燕王の朱棣に従い、建文帝軍と各地で戦いました。彼は卓越した軍事戦略だけでなく、人心の機微を捉えることに長けており、占領した都市での人々の掌握やその後の統治において、その能力を高く評価されました。建文帝軍の李景隆や耿炳文といった将軍たちの拙劣な指揮も手伝い、各地で建文帝軍を破っています。

1401年、建文帝軍は盛庸の指揮下で東昌にて朱棣軍を包囲しました。この絶体絶命の状況で、張玉は決死隊を率いて城外へ突撃、敵軍を攻撃しました。この決死の反撃により、建文帝軍は包囲を解かざるを得なくなり、朱棣は危機を脱しました。しかし、この戦いで張玉自身は戦死しました。

朱棣が即位し、永楽帝となると、張玉の死を悼み、都指揮同知と栄国公を追贈しました。さらに、洪熙帝が即位すると、河間王を追贈し、諡号として忠武が贈られました。張玉の忠誠心と軍功は、後世にも長く語り継がれています。

人物像

張玉は、単なる軍人としてだけでなく、人心を掌握し、敵対する勢力さえも味方に変える能力を持っていました。彼の優れた人となりは、戦後の統治を円滑に進める上で非常に重要な役割を果たしました。また、彼は状況判断能力にも優れており、不利な戦況でも冷静に打開策を見つけ出すことができました。その献身的な働きは、永楽帝による明の安定化に大きく貢献しました。

まとめ

張玉は、元末から明初という激動の時代を駆け抜けた傑出した将軍です。彼の軍事的な才能、人心掌握術、そして忠誠心は、明の歴史において重要な位置を占めています。特に靖難の変における彼の活躍は、後の永楽帝の即位と明朝の安定に不可欠でした。彼の勇猛果敢な行動と高い人徳は、後世の人々に大きな影響を与えました。

参考文献

• - 『明史』巻145 列伝第33

もう一度検索