監督 (キリスト教)

監督の役割と歴史

キリスト教における「監督」とは、英語で言うところの「bishop」を指し、新約聖書に由来しています。この用語は、ギリシャ語の「ἐπίσκοπος (epískopos)」を訳したもので、もともとの意味は「見守る者」や「保護者」に近いものです。監督は普遍的なキリスト教の高位聖職者の一つとして認識され、多くの教派では指導的な役割を果たします。監督が存在する教会組織を「監督制」と呼び、その形態や権限は教派によって異なります。

監督職の発展

監督の職務は、初期のキリスト教会においても重要なものであったと言われています。初代教会に関する理解は教派によってさまざまですが、特に1世紀頃には、アンティオキアのイグナティオスが残した教えに基づき、2世紀の中ごろには監督職が中心となった教会組織が形成されていったことが確認されています。イグナティオスは、監督、長老（司祭）、執事（助祭）の三つの役職が既に存在していることを示しています。

このように、監督職は初代教会から受け継がれてきた重要な位置づけを持っており、宗教改革以前はほとんどすべての教会において監督職を基軸にした組織が存在しました。

教派別の役割

各教派における監督の役割は異なります。たとえば、プロテスタントの一部である福音主義教会やメソジスト教会では、監督はギリシャ語「ἐπίσκοπος」に由来する職制の一つであり、カトリック教会の司教や正教会の主教に相当します。また、エホバの証人では長老という役割が同義とされています。

日本においては、正教会や聖公会では職制名の訳が「主教」とされており、監督の概念が教派ごとに異なることが明らかです。たとえば、日本聖書協会が訳した聖書では「監督」という語が使われますが、特定の教派では異なる訳語が優先されます。

エキュメニズムと監督

エキュメニズムの観点からは、監督職に関する議論が存在します。世界教会協議会（WCC）などにおいて、南インド教会は使徒による按手が行われましたが、これはプロテスタントに妥協を求めるものだと批判が寄せられています。このような枠組みでは、スコットランドにおける宗教改革時に設置された監督者は一時的な職務であったとされています。

日本ホーリネス教会における監督

日本のホーリネス教会では、1917年から1936年にかけてメソジスト監督制を模倣し、監督職が設置されました。初代監督には中田重治が就任し、彼はホーリネス和協分離までその職にありました。彼の後、名誉職として監督職は存続しましたが、後の教会の運営においては委員が責任を負う形になりました。

このように、監督職はその名称や形態が変わる中でも、常に教会の指導力や組織に深く関わっています。教派によって異なる解釈や実践が存在することを踏まえながら、監督の役割が今後どのように展開されていくのか、興味深いところです。

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