盤嶽江戸へ行く

映画『盤嶽江戸へ行く』の概要

『盤嶽江戸へ行く』（ばんがくえどへゆく）は、1949年に公開された日本の長篇劇映画で、監督はマキノ正博が務めました。この作品は、白井喬二の小説『盤嶽の一生』の第2話を基にしたもので、マキノが戦後に設立したシネマ・アーチスト・コーポレーション（CAC）の第2作目として制作されました。この映画は、大河内傳次郎が主演したことで知られています。

歴史的背景

映画『盤嶽江戸へ行く』は、監督マキノ正博の旧制中学時代の後輩である山中貞雄が1933年に手掛けた『盤嶽の一生』の続編として製作されました。この作品は、映画製作から20年後に同じ主演俳優である大河内傳次郎が再び出演することになりました。元々、企画は1948年に新東宝の初代社長となった佐生正三郎によって持ち込まれ、小川記正が白井喬二の原作を脚色しました。

この企画には小川記正の名前が関わることになりますが、彼は当時『シナリオ』誌の編集をしており、映画の発表時期と同じ号に関連エッセイも掲載していました。監督マキノは、最初に小川から渡された脚本を八尋不二に再構成させることに決めました。

制作チーム

小川記正は松竹蒲田撮影所出身の脚本家で、戦後にはプロデューサーに転身し、様々な剣戟映画の脚本を手掛けました。また、八尋不二は前作『盤嶽の一生』の脚本に携わった経歴を持ち、脚本集団「鳴滝組」のメンバーとしても知られています。

映画の中では、嵐寛寿郎や轟夕起子といった俳優が出演しており、撮影チームには三木滋人や西川鶴三といったCACの創設メンバーが関与しました。美術デザインは角井平吉によって手がけられました。

撮影と公開

『盤嶽江戸へ行く』の撮影は、CACが設立した宝塚スタジオではなく、奈良郊外のあやめ池遊園地で行われました。また、ロケーション撮影は奈良や京都の寺社など、多岐にわたる場所で行われました。

当時、東宝が製作できなかったため、新東宝がこの映画を製作し、1949年の3月8日に公開されました。配給は東宝が担当しましたが、映画の制作自体は新東宝にとって重要なステップとなりました。

主要キャストとスタッフ

• - 大河内傳次郎 - 阿地川盤嶽
• - 月丘夢路 - お稲
• - 加東大介 - 兄大三郎
• - 嵐寛寿郎 - 野々宮一徹
• - 香川良介 - 新井南圃
• - 轟夕起子 - 蘭子

スタッフ

• - 企画: 小川記正
• - 製作: 高木三郎
• - 監督: マキノ正博
• - 原作: 白井喬二
• - 脚本: 八尋不二
• - 撮影: 三木滋人
• - 音楽: 大久保徳二郎

まとめ

『盤嶽江戸へ行く』は、日本映画史上重要な作品の一つとして位置づけられており、戦後の日本映画における演技者たちや制作チームの力が結集した名作です。大河内傳次郎の演技や、マキノ正博の独自の視点が見事に生かされています。

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