盧循

盧循（ろ じゅん）

盧循（生年不詳 - 義熙7年4月24日（411年6月1日））は、東晋時代に孫恩の乱の後、反乱軍の指導者となった人物であり、盧循の乱の首領として知られています。字は于先（うせん）、幼名は元竜（げんりゅう）。本貫は范陽郡涿県（はんようぐん たくけん）であり、西晋の官僚である盧諶（ろ しん）の曾孫にあたります。

生涯

盧循の祖父である盧勗（ろ きょく）の代に、五胡十六国の混乱を避けて東晋に帰順しました。元興元年（402年）、孫恩が戦いに敗れて自害した後、妹婿であった関係から反乱軍の指導者となりました。孫恩は残忍な性格で知られていましたが、盧循は事あるごとに諫めて抑えたため、多くの士人がそのおかげで救われたと言われています。

その後、反乱を起こして東晋の実権を掌握した桓玄（かん げん）から永嘉郡太守（えいかぐんたいしゅ）に任じられます。しかし、盧循は反乱を真剣に鎮圧しようとしなかったため、劉裕（りゅう ゆう）による討伐を受けることになります。連戦連敗を喫して海に逃れますが、劉裕が桓玄に対して反旗を翻したことで、一時的に態勢を立て直すことができました。元興3年（404年）、桓玄討伐の混乱に乗じて広州を占領し、勢力を拡大します。

義熙6年（410年）、劉裕が南燕（なんえん）を討つために北伐を行った隙をついて北進し、劉裕の盟友であった江州刺史（こうしゅうしし）の何無忌（か むき）を敗死させ、劉毅（りゅう き）の軍も破るなど、戦況は盧循軍に圧倒的に有利に進みました。しかし、劉裕が帰還すると、その勢いを恐れて建康（現在の南京）に進軍することができず、戦況は一転して不利になります。

同年11月、劉裕の命を受けた孫処（そん しょ）が海上から広州を急襲し、占領します。12月には、大雷（だいらい）という場所で決戦が行われ、盧循軍は壊滅的な敗北を喫しました。さらに、左里（さり）の戦いでの敗北が致命傷となり、軍勢を立て直すことができなくなった盧循は、官軍の追撃を避けて交州（こうしゅう、現在のベトナム北部）まで逃れました。しかし、義熙7年（411年）4月、交州刺史の杜慧度（と けいど）の策略に巻き込まれて残存兵力も壊滅し、盧循は妻子や側妾たちに毒を飲ませた後、自らも水中に身を投げて自害しました。死後、盧循の遺体は水から引き上げられて斬刑に処され、その首は建康に送られました。

出自について

『三国志』盧毓（ろ いく）伝に裴松之（はい しょうし）が注として引用する『盧諶別伝』には、「妖術を操る賊の大将盧循は、盧諶（盧毓の曾孫）の曾孫である」と記されています。

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